2015年07月03日

ドホナーニ&ウィーン・フィルのメンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」、序曲「フィンガルの洞窟」


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1970年代後半に、ドホナーニがウィーン・フィルと録音したメンデルスゾーンの作品集からの抜粋盤。

指揮者の緻密な音作り、鋭敏な感覚と棒のテクニック、そしてウィーン・フィルの無類の美しさがうまくマッチして極めて高水準の出来映えである。

ドホナーニは、かつてのニキシュにはじまり、その後、多くの大指揮者を生み出したハンガリー人指揮者の系譜に連なる指揮者である。

マゼールの後任として、かつてセルが世界一流のオーケストラに育て上げたクリーヴランド管弦楽団の首席指揮者に就任し、数々の名演を生み出したことは、今なお記憶に新しいところだ。

もちろん、ドホナーニほどの指揮者だけに、ドホナーニはクリーヴランド管弦楽団以外のオーケストラとともに名演を残している。

本盤に収められたウィーン・フィルとのスタジオ録音も、そうしたドホナーニによる貴重な名演である。

巷間、ドホナーニとウィーン・フィルの相性は必ずしも良くなかったと言われている。

その理由は定かではないが、特に、ドイツ系の音楽を指揮する際には、ウィーン・フィルの楽員の反応が芳しくなかったようだ。

さすがにショルティほどではないものの、ドホナーニの知的とも言うべきアプローチが、ウィーン・フィルの演奏志向と必ずしも一致しなかったということは容易に推測できるところである。

しかしながら、メンデルスゾーンのようにウィーン・フィルとしては何故か滅多に演奏しない楽曲においては、ドホナーニの知的なアプローチが、演奏全体を引き締まったものとするとともに、ウィーン・フィルの美質でもある美しい響きが演奏を冷徹なものに陥ることを避け、いい意味での潤いや温もりを付加するのに貢献するなど、まさに、指揮者とオーケストラがそれぞれ足りないものを補い合った見事な名演を成し遂げるのに成功していると言えるのではないだろうか。

いずれも秀演で、メンデルスゾーンの初期ロマン的な作風を的確に表現している。

緻密で鋭敏なタクトが織りなす絶妙なテンポとバランスに、ウィーン・フィルの極上のオルガントーンが見事にマッチした、極めて高水準の仕上がりになっている。

ドホナーニの軽やかなリズムとしなやかな旋律線、バランスのよい造形のすべてがメンデルスゾーンにふさわしい。

ウィーン・フィルの演奏も極上で、とくに弦の美しさはたとえようもない。

ドホナーニの表現はみずみずしく、清潔な音楽に応えたものと言えるだろう。

もちろん、これらの楽曲には、他にも優れた名演はあまた存在しているが、少なくとも、相性が今一つであったドホナーニとウィーン・フィルの息が統合した数少ない演奏の1つとして、本盤の演奏は稀少な存在とも言えるところだ。

さすがのプライドの高いウィーン・フィルの楽員も、メンデルスゾーンの楽曲の演奏に際しては、ドホナーニに余計な注文も付けなかったであろうし、逆に、ドホナーニも自信を持って演奏に臨んだことが窺い知れるところだ。

いずれにしても、筆者としては、本盤に収められた楽曲の演奏は、ドホナーニがウィーン・フィルと行った数少ない録音の中でも優れた名演として、高く評価したいと考える。

この他、ドホナーニ&ウィーン・フィルは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」のような、オーケストレーションの華麗さを売りにした楽曲や、いわゆるお国ものとも言うべきバルトークのパントマイム「中国の不思議な役人」のような楽曲においても名演を残していることを付記しておきたい。

本盤の演奏は、アナログからデジタルへ変わる移行期の録音ではあるが、音質にムラはなく充分に新鮮で、さすがは英デッカとも言うべき極めて鮮明で極上の高音質を誇っている。

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classicalmusic at 00:45コメント(2)トラックバック(0)メンデルスゾーン  

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コメント一覧

1. Posted by Bregenz   2014年09月21日 12:02
ウィーンフィルの極上の"オルガントーン"、というのはどう言う意味ですか?
2. Posted by 和田   2014年09月21日 13:38
ウィーン・フィルはなによりも、全体として如何に美しい音が出るか、に全員が気を配っていて、オケ全体の音がバランス良く溶け合う「オルガントーン」と言われている独特の響きを持っています。そういったウィーン・フィル独特の音を「オルガントーン」などと表現します。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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