2015年08月12日

アバドのマーラー:交響曲第2番「復活」(シカゴ響)、第4番(ウィーン・フィル)


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アバドによるマーラーの交響曲第2番と言えば、いの一番にルツェルン祝祭管弦楽団との超名演(2003年ライヴ)が思い浮かぶ。

当該演奏は、大病を克服したアバドならではの深みと凄みを増した指揮とアバドと深い関係にあるルツェルン祝祭管弦楽団が、ともに音楽を創造していくことの楽しみを共有し合いつつ渾身の力を発揮した稀有の超名演に仕上がっていた。

したがって、このルツェルン盤の存在があまりにも大きいために、そしてウィーン・フィルとのライヴ録音(1992年)も存在しているため、更に約20年も前のスタジオ録音である本盤の演奏の影はいささか薄いと言わざるを得ないが、筆者としては、若き日のアバドならではの独特の魅力がある素晴らしい名演と高く評価したい。

本演奏におけるアバドのエネルギッシュな指揮ぶりは実に凄まじい。

とりわけ第1楽章や終楽章におけるトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫と力感は、圧倒的な迫力を誇っていると言えるところであり、ベルリン・フィルの芸術監督に就任後、借りてきた猫のように大人しくなってしまったアバドとは別人のような力強い生命力に満ち溢れた熱い指揮ぶりである(アバドは芸術監督退任間近に胃がんにかかるが、胃がん克服後は、彫りの深い名演を成し遂げるようになったことを忘れてはならない。)。

それでいて、とりわけ第2楽章や第3楽章などにおいて顕著であるが、アバドならではの歌謡性豊かな表現には汲めども尽きぬ情感が満ち満ちており、その歌心溢れる柔和な美しさには抗し難い魅力がある。

終楽章の終結部の壮麗さも、雄渾なスケールと圧巻の迫力に満ち溢れており、圧倒的な感動のうちに全曲を締めくくっている。

シカゴ交響楽団も持ち前の超絶的な技量を如何なく発揮しており、本名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。

また、キャロル・ネブレットとマリリン・ホーンによる独唱、そしてシカゴ交響合唱団による壮麗な合唱も最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

他方、マーラーの交響曲第4番は、アバドによる2度にわたる同曲の録音のうちの最初のもの(スタジオ録音)に該当する。

2度目の録音は、本演奏の約30年後にベルリン・フィルを指揮したライヴ録音(2005年)であり、それはベルリン・フィルの卓越した技量と、大病を克服したことによって音楽に深みと凄みを増したアバドによる彫りの深い表現、そしてルネ・フレミングによる名唱も相俟って、至高の超名演に仕上がっていたと言える。

したがって、ベルリン・フィル盤が燦然と輝いているために本演奏の旗色は若干悪いと言わざるを得ないが、それでも、本盤には若き日のアバドならではの独特の魅力があり、名演との評価をするのにいささかの躊躇をするものではないと考える。

交響曲第4番は、他の重厚長大な交響曲とは異なり、オーケストラの編成も小さく、むしろ軽妙な美しさが際立った作品であるが、このような作品になるとアバドの歌謡性豊かな指揮は、俄然その実力を発揮することになる。

本演奏は、どこをとっても歌心に満ち溢れた柔和な美しさに満ち溢れており、汲めども尽きぬ流麗で、なおかつ淀みのない情感の豊かさには抗し難い魅力がある。

それでいて、ここぞという時の力奏には気迫と強靭な生命力が漲っており、この当時のアバドならではのいい意味での剛柔バランスのとれた素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。

オーケストラにウィーン・フィルを起用したのも功を奏しており、アバドの歌謡性の豊かな演奏に、更なる潤いと温もりを与えている点を忘れてはならない。

ゲルハルト・ヘッツェルのヴァイオリンソロも極上の美しさを誇っており、終楽章におけるフレデリカ・フォン・シュターデによる独唱も、最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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