2015年06月29日

ハイフェッツ/ヴァイオリン・ソナタ集


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ヤッシャ・ハイフェッツのRCA音源の中から、ヴァイオリン・ソナタと名のつく作品を集めた9枚組ボックス。

死後既に25年を経ているが、ヴァイオリニストの王として依然衰えない人気を誇っているハイフェッツのアンソロジーで、ここにはハイフェッツの魅力がぎっしり詰まっている。

彼の熱烈なファンであれば2011年にソニーからリリースされた全103枚のザ・コンプリート・アルバム・コレクションを持っているだろうが、より気軽に彼の演奏に親しみたいという方には、この9枚組のソナタ集が手頃で便利だ。

選曲はバロックから現代音楽までの広い範囲をカバーしていて、巨匠の多彩なレパートリーと伝説的なボウイングのテクニックが俯瞰できるセットになっている。

ただしここではオーケストラが加わる曲に関しては全く含まれていないので、そちらの方は同シリーズの協奏曲集に譲ることになる。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を中核に、バッハからブロッホに至る様々なスタイルの音楽が並んでおり、変化に富む内容となっている。

長らく未発表で2002年になって初めて発売された、グリーグのソナタ第3番とブラームスのソナタ第1番「雨の歌」も収録されている。

演奏はハイフェッツらしい颯爽とした折り目正しい演奏で、聴き終わった時に爽快感を感じる。

いずれの演奏もハイフェッツの高度に安定した技巧には感心させられるし、しかも技巧だけに偏った冷たい演奏ではなく、そこには熱気が漂い、抒情が流れている。

たとえば、ベートーヴェンでは「クロイツェル」が特に光っており、第1楽章には情熱がこめられているし、第2楽章は変化に富み、第3楽章には推進力がある。

「スプリング」も鮮やかな技巧と速めのテンポで演奏されて聴き応えがあり、流麗な出来映えを見せている。

とりわけ個人的に興味を持って鑑賞したのは8枚目に収録されている現代作曲家の作品集で、ブロッホの2曲のソナタ及びファーガソンのソナタ第1番、そしてカレン・ハチャトゥリアンのト短調ソナタの4曲。

それらはハイフェッツが同時代の音楽に傾けた強い共感を感じさせる演奏だし、また現在でもそれほど頻繁に採り上げられない曲なので貴重なセッションだ。

ちなみにカレン・ハチャトゥリアンはアラム・ハチャトゥリァンの甥にあたり、このソナタはレオニード・コーガンに捧げられたが、ハイフェッツの録音によって欧米でも知られるようになったという経緯を持っている。

編集は比較的自由にさまざまな時代からの演奏がカップリングされている。

また通しのセッションではないにしても一応ベートーヴェンやブラームスのソナタは全曲収めているが、バッハの無伴奏はソナタのみで3曲のパルティータが漏れている。

ソナタ集というタイトルに拘ったのかも知れないが、できれば全6曲を入れて欲しかったところであり、それによって更にコレクションとしての価値も高まっただろう。

ただモダンですっきりしたバッハが念頭にあったのか、どこか軽い感じのするバッハになっているのは否めない。

それが結果としてバッハの新しい演奏スタイルの確立に一石を投じる役割を果たしたと言って良いだろう。

ことにソナタ第3番の終楽章はいかにもハイフェッツらしい爽快な演奏だ。

録音年代は1936年から1972年で当然ながらモノラル、ステレオが混在している。

曲によっては多少ノイズが気になるものもあるが、この時代の録音としては良好で鑑賞に充分堪え得る音質だ。

これら一連のディスクを所有していない人にはとてもお得なセットとして推薦したい。

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classicalmusic at 20:53コメント(0)トラックバック(0)ハイフェッツ  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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