2015年07月23日

カラヤン&ベルリン・フィルのビゼー:「アルルの女」組曲、「カルメン」組曲(旧盤)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本盤には、ビゼーが作曲した南フランスの牧歌的な風景の中で繰り広げられる劇音楽から編纂した馴染み深いメロディが次々に登場する「アルルの女」組曲と情熱的なスペイン情緒を背景にした歌劇の名旋律を独立したオーケストラに再編した「カルメン」組曲などが収められている。

本盤に収められた演奏は、カラヤンがこれらビゼーの2大有名管弦楽曲を手兵ベルリン・フィルとともに行った演奏としては、1度目の1970年盤のスタジオ録音ということになる。

1980年代にスタジオ録音された新盤も、一般的な意味においては、十分に名演の名に値すると言えるであろう。

しかしながら、本盤に収められた1970年の演奏があまりにも素晴らしい超名演であったため、本演奏と比較すると新盤の演奏はいささか落ちるということについて先ずは指摘をしておかなければならない。

カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代は1960年代、そして1970年代というのが一般的な見方であると考えられるところだ。

この黄金コンビによる同時期の演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの朗々たる響き、桁外れのテクニックを披露する木管楽器の美しい響き、そして雷鳴のようなティンパニの轟きなどが鉄壁のアンサンブルの下に一体化した完全無欠の凄みのある演奏を繰り広げていた。

そして、カラヤンは、ベルリン・フィルのかかる豪演に流麗なレガートが施すことによって、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功していたと言える。

しかしながら、1982年にザビーネ・マイヤー事件が勃発すると、両者の関係には修復不可能なまでの亀裂が生じ、この黄金コンビによる演奏にもかつてのような輝きが一部の演奏を除いて殆ど聴くことができなくなってしまった。

新盤に収められた演奏は1982〜1984年にかけてのものであり、これは両者の関係が最悪の一途を辿っていた時期でもあると言える。

加えてカラヤン自身の健康悪化もあって、新盤の演奏においては、いささか不自然なテンポ設定や重々しさを感じさせるなど、統率力の低下が顕著にあらわれていると言えなくもないところだ。

したがって、カラヤンによるこれらの楽曲の演奏を聴くのであれば、前述のようにダントツの超名演である1970年盤の方を採るべきであると考える。

演奏は、カラヤン一流の緻密な設計と巧妙な演出の光るもので、その豊かな表現力には舌を巻く。

カラヤンの指揮した舞台の付随音楽は天下一品といってよく、この「カルメン」組曲の前奏曲など、まさに幕開きの音楽にふさわしい劇場風の華やかな気分にあふれている。

「アルルの女」も文句のつけようのない卓越した演奏で、カラヤンの卓抜な棒がそれぞれの曲の性格をくっきりと浮き彫りにしている。

本演奏でカラヤンがみせる執念と集中力はたいへんなもので、手になれた作品を扱いながら、手を抜いたところは少しもなく、南欧特有の陽光に包まれた情緒を豊かに匂わせている。

ベルリン・フィルの木管セクションの軽妙洒脱な歌いまわしも絶妙といっていいほど冴え渡っており、愉悦感に満ち溢れた規範的な演奏を繰り広げている。

音質については、これまでリマスタリングが行われたこともあって、本従来盤でも十分に良好な音質である。

もっとも、新盤の演奏においては、とりわけ緩徐箇所における情感豊かな旋律の歌わせ方などにおいて、晩年のカラヤンならではの味わい深さがあると言えるところだ。

そして、管弦楽曲の小品の演奏におけるカラヤンの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さにおいては、新盤の演奏においてもいささかも衰えが見られないところであり、総じて新盤の演奏も名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。



ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 22:56コメント(0)トラックバック(0)ビゼー | カラヤン 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ