2015年06月06日

カラヤン&ベルリン・フィルのR・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」、チャイコフスキー:イタリア奇想曲、大序曲「1812年」


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カラヤンはロシアものも大変巧かったが、このディスクに収められた曲目はそのよい例で、カラヤン&ベルリン・フィルのコンビの実力を如実に示した卓抜な演奏だ。

本盤に収められたR・コルサコフによる交響組曲「シェエラザード」の演奏は、カラヤンによる唯一の録音である。

カラヤンは、同じロシア5人組のムソルグスキーによる組曲「展覧会の絵」やチャイコフスキーによる3大バレエ音楽の組曲を何度も録音していることに鑑みれば、実に意外なことであると言えるであろう。

その理由はいろいろと考えられるが、何よりもカラヤン自身が本演奏の出来に十分に満足していたからではないだろうか。

それくらい、本演奏は、まさにカラヤンのカラヤンによるカラヤンのための演奏になっていると言えるだろう。

この曲の交響的な性格と標題音楽的な性格の中間をいくような表現で、カラヤンは全編をシンフォニックに華麗に仕上げながらも、そこに東洋的なムードを巧みに盛り込み、音による豪華絢爛たる絵巻を繰り広げている。

第1曲の「海とシンドバッドの船」は、テンポが少し速いような気がするが、第2曲以後は余裕をもった指揮ぶりでアラビアン・ナイトの世界へ聴き手を誘ってくれるかのようだ。

本演奏は1960年代後半のスタジオ録音であるが、これはカラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代に相当している。

ベルリン・フィルにとってもあまたのスタープレイヤーを擁した黄金時代であり、健康状態にも殆ど不安がなかったカラヤンによる圧倒的な統率の下、凄みのある演奏を繰り広げていた。

鉄壁のアンサンブル、金管楽器のブリリアントな響き、木管楽器の超絶的な技量、肉厚の弦楽合奏、雷鳴のようなティンパニの轟き(もっとも、この時はフルトヴェングラー派のテーリヒェンが演奏していたが)などを駆使しつつ、これに流麗なレガートを施したいわゆるカラヤンサウンドとも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していたと言える。

こうしたカラヤンサウンドは、本演奏においても健在であり、おそらくはこれ以上は求め得ないようなオーケストラの極致とも言うべき演奏に仕上がっている。

加えて、当時世界最高のコンサートマスターと称されたシュヴァルベによるヴァイオリンソロの美しさは、抗し難い魅力に満ち溢れており、本演奏に華を添えていることを忘れてはならない。

また、オペラを得意としたカラヤンならではの演出巧者ぶりは同曲でも存分に発揮されており、各組曲の描き分けは心憎いばかりの巧さを誇っており、ことに劇的にまとめた終楽章は圧巻だ。

このような諸点を総合的に勘案すれば、本演奏は非の打ちどころがない名演と評価し得るところであり、カラヤンとしてもこの名演を凌駕する演奏を行うことは困難であることを十分に自覚していたのではないかとさえ考えられるところだ。

併録のイタリア奇想曲や大序曲「1812年」も、カラヤン唯一の録音であるが、これまた全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルの演奏の凄さを感じることが可能な素晴らしい名演だ。

イタリア奇想曲は、次から次へ現れる親しみ易い旋律展開は全くカラヤン向きと言えるところであり、ベルリン・フィルの演奏技術とカラヤンの劇的な演出に圧倒される。

カラヤンは、大序曲「1812年」において、冒頭にロシア正教による合唱を付加している。

さらに終結部にも付加すればより効果的であったのではないかとも思われるが(デイヴィスやマゼールなどの演奏に例あり)、十分に堪能できる名演であり文句は言えまい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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