2015年05月08日

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル/ベートーヴェン:交響曲第4番、ブラームス:交響曲第4番(1973年ライヴ)


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1973年4月28日 レニングラード・フィルハーモニー 大ホール(ステレオ/ライヴ録音/新マスタリング)に於けるムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの黄金コンビによる超名演を非常に優れた音質で味わえる好企画SACDである。

ムラヴィンスキーはドイツ古典派、ロマン派の音楽に深い造詣を持っていたことはよく知られているが、本盤に収められた演奏においても、その揺るぎなく格調の高い指揮ぶりは、優秀録音からもよく伝わってきて、深い感銘を残さずにはおかない。

ただしロシア物を指揮するムラヴィンスキーと、ドイツ物を指揮する彼では、微妙な相違があったような気がする。

ドイツ物を演奏する場合は、どこか醒めていて、陶酔に陥るのを避けるべく自らをコントロールしているような演奏ぶりだ。

ベートーヴェンの「第4」は、初来日直前のレニングラードでのライヴである。

どちらかと言えば、音質、演奏ともに、来日時の演奏の方に軍配をあげたくはなるが、あくまでもそれは高い次元での比較であり、そのような比較さえしなければ、本演奏も、素晴らしい名演である。

ムラヴィンスキーのベートーヴェン「第4」は、理論的な音楽の造形が明快で、ここまでくると気持ちいい。

第1楽章の冒頭のややゆったりとした序奏部を経ると、終楽章に至るまで疾風の如きハイテンポで疾走する。

切れ味鋭いアタックも衝撃的であり、疾風の如き一直線のテンポではあるが、どの箇所をとっても深いニュアンスに満ち溢れており、無機的には決して陥っていない。

ここはテヌートをかけた方がいいと思われる箇所も素っ気なく演奏するなど、全くと言っていいほど飾り気のない演奏であるが、どの箇所をとっても絶妙で繊細なニュアンスに満ち満ちている。

ムラヴィンスキーによって鍛え抜かれたレニングラード・フィルの鉄壁のアンサンブルの揃い方も驚異的であり、金管楽器も木管楽器の巧さも尋常ならざる素晴らしさだ。

各奏者とも抜群の巧さを披露しているが、特に、終楽章のファゴットの快速のタンギングの完璧な吹奏は、空前絶後の凄まじさだ。

他方、ブラームスの「第4」は、ベートーヴェンと同日のライヴであるが、これは、ムラヴィンスキーの遺した同曲の演奏中、最高の名演と高く評価したい。

堅固で明快な構成感を打ち出しながら、しかもその内側にブラームスのロマンをはっきりととらえた、力強く集中度の高い演奏を聴かせてくれる。

それはよく言われるようにこの交響曲の枯れた味わいというよりは、強靭で意志的なものを感じさせるが、そんなところがこの指揮者の厳しい格調に通じるものにも他ならないだろう。

眼光紙背に徹したスコアの読み方は人工的なほどだが、音として出てきたものはきわめて自然でしなやかで、純音楽的である。

淡々とした運びの中の自在な表情と無限の息づき、強弱のたゆたいや寂しさ、魔法のようなテンポの動きなど、センス満点の名演だ。

ベートーヴェンと同様に速めのテンポであり、もう少しテンポを緩めてもいいのではと思われる箇所も、すっと何もなかったように通りすぎてしまう。

しかしながら、随所に見せるニュアンスの豊かさは、まさに至高・至純の美しさに満ち溢れている。

終楽章は、パッサカリア形式による曲想がめまぐるしく変化するが、鉄壁のアンサンブルを堅持し、オーケストラを手足にように操る指揮芸術の凄さは、もはや筆舌には尽くしがたいものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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