2015年05月11日

バーンスタイン&ウィーン・フィルのモーツァルト:交響曲第25番、第29番、クラリネット協奏曲(シュミードル)


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レナード・バーンスタインは、その晩年にウィーン・フィルとともにモーツァルトの主要な交響曲集のライヴ録音を行ったところであり、本盤に収められた交響曲第25番及び第29番はその抜粋である。

バーンスタインは、かつてニューヨーク・フィルの音楽監督の時代には、いかにもヤンキー気質の爽快な演奏の数々を成し遂げていたが、ヨーロッパに拠点を移した後、とりわけ1980年代に入ってからは、テンポは異常に遅くなるとともに、濃厚でなおかつ大仰な演奏をするようになった。

このような芸風に何故に変貌したのかはよくわからないところであるが、かかる芸風に適合する楽曲とそうでない楽曲があり、途轍もない名演を成し遂げるかと思えば、とても一流指揮者による演奏とは思えないような凡演も数多く生み出されることになってしまったところだ。

具体的には、マーラーの交響曲・歌曲やシューマンの交響曲・協奏曲などにおいては比類のない名演を成し遂げる反面、その他の作曲家による楽曲については、疑問符を付けざるを得ないような演奏もかなり行われていたように思われる。

本盤の演奏においても、ゆったりとしたテンポによる熱き情感に満ち溢れた濃厚さは健在であり、例えば、これらの楽曲におけるワルターやベームの名演などと比較すると、いささか表情過多に過ぎるとも言えるところだ。

もっとも、オーケストラがウィーン・フィルであることが、前述のような大仰な演奏に陥ることを救っていると言えるところであり、いささか濃厚に過ぎるとも言えるバーンスタインによる本演奏に、適度の潤いと奥行きを与えている点を忘れてはならない。

バーンスタインがこのウィーン・フィルを指揮した演奏は、オーケストラを巧みにドライヴした熱気と力強さにあふれている。

楽員の自発性が尊重された演奏であり、バーンスタインの指揮の下、ウィーン・フィルはその真髄を完全に体現している。

第25番は洗練された美の極致とも言える鮮麗なサウンドで、聴き手を魅了してやまない。

第29番も極めて音楽的に絶妙な表現で、造形も端正そのものだし、木管の自発的で豊かな表現力にはもはや形容する言葉もない。

近年のモーツァルトの交響曲演奏においては、古楽器奏法やピリオド楽器を使用した小編成のオーケストラによる演奏が主流となりつつある。

そうした軽妙浮薄な演奏に辟易としている中で本演奏を聴くと、本演奏には血の通った温かい人間味を感じることが可能であり、あたかも故郷に帰省した時のように安定した気持ちになる聴き手は筆者だけではあるまい。

バーンスタインのシンフォニックな厚みのある演奏は、いかにも巨匠風のスケールの大きな大芸術だ。

稀代の指揮者バーンスタインの名盤というと、おそらく、誰もが真っ先に思い浮かべるのはマーラーの交響曲の熱演だろう。

確かにあれは圧倒的な出来映えなのだけれど、このモーツァルトの交響曲もまた、それに劣らぬ歴史的名演ではないかと筆者は考えている。

バーンスタインの古典は、一般に見逃されているようだが、彼のハイドンやモーツァルトは、構成のしっかりした実に立派なもので、ぜひ再認識してほしいと思う。

いずれにしても、本演奏は、近年の血の通っていない浅薄な演奏が目白押しの中にあってその存在意義は極めて大きいものであり、モーツァルトの交響曲の真の魅力を心行くまで堪能させてくれる人間味に溢れた素晴らしい名演と高く評価したい。

クラリネット協奏曲も秀演で、シュミードルの独奏は甘く美しく、まさにウィーン独自の音と音楽であり、ここではバーンスタインもサポートに回って、豊麗なバックグラウンドをシュミードルに提供している。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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