2015年05月13日

カラヤン&ベルリン・フィルのモーツァルト:交響曲第29番、第39番(新盤)


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本盤は、カラヤンが到達した最晩年の境地を垣間見るモーツァルトを収録したアルバムで、待望の名盤の復活である。

70代後半に入ったカラヤンは、自己の芸術を集大成するかのように意欲的なレコーディングを続けたが、モーツァルトの交響曲はなかなか手がけなかった。

この2曲は、そうしたカラヤンが満を持すように録音した久しぶりのモーツァルト録音であった。

第29番は実に22年ぶり3度目の、第39番は12年ぶり5度目の録音になる。

カラヤンは同じDGへの1975年録音の演奏も、ひたすら突っ走る目眩しく天駆ける飛翔感があり、この2曲の本質を突いた抜群の魅力を持っている。

しかし、明るくストレートな表現は、オリジナル楽器のオーケストラに任せて、ここでは最晩年の1987年の録音を選びたい。

最晩年のカラヤンが自らのドイツ的資質を明らかにした演奏であり、ここでは、モダン・オーケストラでしか味わえない魅力を最良の形で表現していると言える。

ベルリン・フィルとのカラヤンのモーツァルトは、この手兵のすぐれた機能を生かして、いかにも美しい響きとスケールをもっていた。

そうしたカラヤンのモーツァルトの魅力は、ここでも当時最新のデジタル録音によって、いっそう美しくとらえられている。

カラヤンが残したモーツァルトの交響曲の最後のスタジオ録音であるが、それ以前のスタジオ録音とは大いに異なり、この曲をこう解釈するという自己主張が抑えられ、曲そのものの魅力を表現しようという、いわゆる自然体の姿勢が顕著である。

と同時に、しばしば耽美的と評され、濃密な表現が際立ってもいたその演奏が、ここではよりしなやかな流れを獲得している。

細部まで眼の通った入念な仕上げも見事だが、最晩年のカラヤンは、さらに巨視的に音楽をとらえているといってよいだろう。

それだけにこの演奏は、かつてのカラヤンのモーツァルトの交響曲演奏に感じられたある種の重苦しさを逃れて、その音楽にいっそう深く美しい光を当てている。

ここには、カラヤンを貶す人の間で巷間言われているような尊大さのかけらは殆ど見られない。

全体的にゆったりとしたテンポの下、カラヤン得意のレガートによって歌い抜かれた高貴で優美な曲想が、人生の諦観とも言うべき深い情感を湛えている。

第29番は独自のあたたかさと透明度の高さが融合した演奏で、かつてのカラヤンの弱点でもあった自我の表出を抑え、古典主義的世界の再現を見事に果たしている。

特にコン・スピーリトの終楽章は驚くほど躍動的で、爽快なテンポで全体をきりりと引き締めている。

第39番は、冒頭の和音からして内的な充実の感じられる崇高な響きを持っており、聴き手に深い感銘を与えるが、明晰で格調高く、しかも不思議に親しみやすい。

カラヤンが同じザルツブルク出身のモーツァルトと天才同志の魂の会話をしているような、そんなことまで思わせる感動的な名演だ。

カラヤンの死の2年前の演奏であるが、カラヤンとしてもまさに人生のゴールを目前にして、漸く到達した至高にして崇高な境地というべきなのであろう。

これらの演奏には、半世紀をこえるカラヤンのモーツァルトへの共感が最も純粋な形で込められているといってよいのではないだろうか。

音質は、ルビジウム・クロック・カッティングを施した上で、さらに高品質SHM−CD仕様がなされたことにより、素晴らしくクリアな音質となっている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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