2015年05月20日

テイト&イギリス室内管のモーツァルト:交響曲全集


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本BOXには、テイト&イギリス室内管弦楽団によるモーツァルトの交響曲全集が収められているが、現代モーツァルト演奏のひとつの高峰を示した集成であると高く評価したい。

テイトの演奏には、録音当時40代という年齢を思わせない成熟と落ち着きがあり、常にテンポを中庸かやや遅めにとって、決して無理をしないため、音楽に気品があるのも良い。

内部の情熱や意志力を客観的と言えるまで抑制し、音楽的に純粋で、一点一画もおろそかにしないデリケートな演奏は、モーツァルトの多様さがそのまま表れた味わい深い音楽だ。

全曲とも音楽的に磨き抜かれていて、いぶし銀のような響きをもった晴朗な音楽となっており、テイトの良識と知性輝く演奏と言えよう。

透明度も高く、完璧を求める繊細な神経が張り詰め、アンサンブルもきめ細かく精緻、趣味がよく、端然とした音楽だ。

テイトとしては、それぞれの作品を限度まで歌わせているが、活力が強く、モーツァルトの音楽性をよく理解した表現である。

肉体的に大きなハンデを負いながら、ジェフリー・テイトがつくる音楽には少しもひ弱さや翳りがなく、常に生き生きと明晰でバランスが良い。

しかもケンブリッジで医学を修め、音楽家としての正式な教育を受けたのは20代も半ばを過ぎてから、それもロンドンのオペラ・センターで1年学んだだけというのだから、やはり特別な才能の持ち主と言うべきだろう。

その才能は知る人ぞ知るものであったらしく、特に、ブーレーズとカラヤンは、テイトの才能を高く評価していたという。

テイトの本格的なデビュー盤は、本BOXに収められたイギリス室内管弦楽団とのモーツァルトの第40、41番である。

1984年にイギリス室内管弦楽団とモーツァルトの連続演奏会を行なって大成功を収めたテイトは、翌年には同団史上初の首席指揮者に就任し、モーツァルトの交響曲をシリーズで録音することになる。

その成果が本BOXに収められているのであるが、イギリス室内管弦楽団の澄んだ響きを鋭敏な感覚で生かしたその演奏は、爽やかな劇性とともに豊かで深い精神性をそなえている。

もっとも、このモーツァルト・シリーズと、内田光子の希望で1985年に始まったモーツァルトのピアノ協奏曲全集での成功が、デビュー当初のテイトに幾分特定のイメージを与えることになったようである。

現代の若手指揮者のなかで、この人ほどスケールの大きな指揮をする人も珍しい。

爛レンペラーの再来瓩箸泙埜世錣譴討い襪世韻法△修硫山擇詫揚迫らずゆったりとしていて、しかも強固な芯が通っている。

いずれにおいてもテイトは、くっきりとアンサンブルを整え、細部まで的確な読みの通った明快な指揮によって、しなやかな変化にとんだ表現を聴かせてくれる。

時には、もう少し手練手管や適度な誇張があってもと思わないでもないが、バランスの良い構成力と爽やかで自然な音楽の流れから生まれる素直な歌と劇性が魅力である。

管楽器、ことに木管楽器の表情が絶妙で、深々とした呼吸の自然な語り口をもった演奏である。

マッケラス同様、室内オーケストラを指揮しているが、テイトの表現は、さらにシンフォニックでスケールが大きい。

録音の良さも注目すべきで、ことに管楽器群とティンパニの音がはっきりと分離して聴こえるのも、テイト盤ならではの特色である。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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