2015年05月18日

ヨーヨー・マ&アックスのベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集、他


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バッハの『無伴奏』がチェロにおける「旧約」聖書ならば、ベートーヴェンの『ソナタ』は「新約」聖書に匹敵すると言われるが、デビュー間もないヨーヨー・マと、盟友アックスによる若々しい掛け合いが音楽に溌剌としたエネルギーを与えた快演盤。

まさにベートーヴェンのチェロ・ソナタのエッセンスをとらえた代表的名演として高い評価を得て、世界中でベストセラーを記録した1983年録音作品である。

ヨーヨー・マは、1955年に台湾系中国人を両親としてパリに生まれたが、まもなく渡米し、ジュリアード音楽院でヤーノシュ・シュタルケルとレナード・ローズに師事した。

その優れた才能は早くから評判となり、欧米各地でオーケストラと共演、多くのリサイタルを開いて絶賛を博して、いまや現代のチェロ界を背負う最高の演奏家として注目されている。

彼が、ポーランド生まれで、アメリカを中心に活躍している名ピアニスト、アックスと組んだこの演奏は、新しい資料による新ベートーヴェン全集によっているため、これまでのとは多少違っている。

このふたりの演奏は、ロストロポーヴィチとリヒテルとの熱演とは対照的に、こちらは飛び切り才能のあるふたりの若者(当時)による掛け合いが楽しく、穏やかでのびのびとしている。

ヨーヨー・マのチェロは、きわめて豪胆で明快、曖昧さのない切れ味の鋭いもので、持ち前の美音と優れたテクニックで、実に素直に悠然と弾きあげており、新鮮な音楽をつくりあげているところがよい。

アックスのピアノもヨーヨー・マとぴったりと呼吸が合っており、最上のアンサンブルと言えるところであり、全体に新鮮で引き締まった好演である。

チェロを豊かに、艶やかに鳴らし、ヴァイオリンのように自由自在に扱うヨーヨー・マの特色が生かされ、自由奔放に歌い、弾むようなリズム感は、聴き手を爽快な気分にさせてくれる。

実にしなやかでのびのびと歯切れのよい運びの中にチェロとピアノのぴったりと息の合った二重奏がかもしだす抒情のかぐわしさは、他に類を見ないもので、自然体・平常心で臨んで曲の味わい深さを出した好演と言えるだろう。

アックスのピアノも少しも引けをとらない。

アックスもベートーヴェンの音楽解釈には一家言をもった演奏家であり、両者のデュオのコンセプトを見事に一致させながらも、古典派時代の単なる伴奏ピアノと独奏楽器という様式を脱した真の二重奏ソナタとしての緊張感に満ちた演奏を繰り広げており、過剰表現のない、洗練された形式美に横溢する。

このコンビの息の合った二重奏はある時は朗々とした歌を生み出し、ある時は熱っぽいクライマックスを築き上げてゆく。

特に第3番では、ベートーヴェンがスコアに書き込んだ野卑なユーモアが、特にスケルツォなどで大炸裂、音楽に新しい生命力を与えている。

そして、豪快な第3番に対して繊細緻密な第4番という具合に、その描き分けが完璧にうまい。

「魔笛」の主題による2曲もヨーヨー・マの技巧は優れていて危なげなところはどこにもなく、短調の変奏での深く熱っぽいチェロの歌が胸を打つ。

ネアカのベートーヴェンだが、両者の和気あいあいのアンサンブルと冴えたテクニックのせいで、これらの作品が実に楽しく味わえる。

音質は従来盤ではあるが、十二分に鮮明であり、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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