2015年07月09日

デュ・プレのドヴォルザーク(チェリビダッケ)&サン=サーンス(バレンボイム):チェロ協奏曲


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全身全霊を傾け作品そのものを根本から揺さぶる、永遠の生命を持った迫真のライヴ盤で、2曲ともが、孤高の境地を示すデュ・プレの芸術の頂点を伝える感動的な名演であり、演奏・録音ともに第一級の価値を持っている。

「遠き山に日は落ちて」「ユモレスク」などで親しまれているように、ドヴォルザークほど、人々の心を一発で魅惑するメロディをたくさん書き残した作曲家はいないかもしれない。

古今のチェロ協奏曲のなかでも筆頭に位置するこの名作には、自然の美しい風景、やるせない望郷の念を想起させる選りすぐりの素晴らしいメロディがいっぱい詰まっている。

デュ・プレの全身全霊を込めた音楽への没入は、このライヴでも素晴らしい。

ここで彼女が使用しているのは、ストラディヴァリウスの名器ダヴィドフ(現在はヨーヨー・マが譲り受けて愛用)だろう。

松やにを飛び散らせながらダイナミックな軋みをたて、痛切に歌うチェロは、凄いの一言に尽きる。

デュ・プレは、きれいごとでない、凄まじいばかりに体を張った大熱演だが、人間の生命力のすべてを具現した朗々たる音色が眼前に激しく飛び出してくる。

冒頭から情熱が迸るような迫力のある表現で圧倒されるところであり、音色の変化、リズムの間、ひそやかな弱音など、その多様な表現力に舌を巻く。

切々たる思いを劇的に語るかのようで、この演奏こそ狷魂の瓩箸いΨ鼠討ふさわしく思える。

聴き手をエキサイティングに熱くさせる演奏はそうザラにはないが、このデュ・プレのドヴォルザークはその筆頭格にあげられる。

グイと鷲づかみにするような発音、どこをとっても熱気のこもった歌いまわし、心憎いまでの剛柔のニュアンスなど、全身全霊を傾け同作品を揺さぶる。

ひとりのチェリストと言うよりも、表現者としての原点を見る思いのする比類のない演奏である。

天真爛漫で、バリバリと弾き進むデュ・プレの圧倒的なチェロに一歩もひるまず、いたずらにわめかずに響きに抑制を効かせながらも気宇壮大な音楽を造形していくチェリビダッケもさすがである。

第3楽章など、むしろデュ・プレがチェリビダッケが木管に託した深遠な歌に同化する瞬間すらある。

2人はまったく別なタイプだが、魂を音楽に必ず込めることのできる数少ない音楽家という点では共通している。

この共演は、指揮者とソリストがお互い刺激し尊重しあう"協奏曲の醍醐味"という点でも、大変おもしろくエキサイティングである。

夫の指揮者バレンボイムと共演した前半のサン=サーンスは、むしろ音楽の天才肌のタイプがぴったりと一致した熱演ぶりが対照的。

サン=サーンスの濃厚と繊細と蠱惑、悩ましいほどの表情の豊かさも見事だ。

どこまでもヴィヴィッドに魅惑的に仕上げられたデュ・プレのチェロであり、聴き手をいつの間にか虜にしてしまうような一種魔力に似た息づきがある。

彼女の曲作りはすべからく流麗と形容すべきものではあるが、そこには常に前向きな初々しい躍動感が息づいており、言い知れぬ魅力を湛えた独特の推進力がある。

ひたむきに歌い、まるで祈り訴えかけてくるかのように純粋な美を織り出してゆくその姿勢が我々の胸を打ってやまない。

表現はきわめてフレキシブル、サン=サーンスのスコアの欲するところに誠に濃やかに対応し、鮮やかに広がった音空間を醸し出している。

彼女全盛期の美質がこのコンパクトな作品の中に余すところなく盛り込まれている観。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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