2016年03月11日

ロストロポーヴィチ&小澤のドヴォルザーク:チェロ協奏曲、チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲


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ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、雄大なスケール、朗々と歌う旋律、チェロの特質を極限まで生かした傑作で、チェロ協奏曲の王様とも言うべき不朽の名作であり、それ故に古今東西の様々なチェリストがこぞって演奏・録音を行ってきた。

それだけに、名演には事欠くことはなく、本稿にも書ききれないほどの数多い名演が存在している。

カザルスと並んで20世紀最大のチェリストと称されたロストロポーヴィチも、同曲の録音を繰り返し行っており、ターリッヒ&チェコ・フィルとの演奏(1952年)を皮切りとして、ハイキン&モスクワ放送交響楽団との演奏(1956年)、カラヤン&ベルリン・フィルとの演奏(1968年)、ジュリーニ&ロンドン・フィルとの演奏(1977年)、そして小澤&ボストン交響楽団との演奏(1985年(本盤))の5度にわたってスタジオ録音を行っている。

その他にもライヴ録音も存在しており、これは間違いなくあらゆるチェリストの中でも同曲を最も多く録音したチェリストと言えるのではないだろうか。

これは、それだけロストロポーヴィチが同曲を深く愛するとともに、満足できる演奏がなかなか出来なかった証左とも言えるところだ。

本録音はその最後(1985年)となった作品であるが、ロストロポーヴィチ会心の円熟作であり、彼の芸術の集大成とも言うべき名演を繰り広げている。

ロストロポーヴィチは、小澤との本録音(1985年)の演奏の出来に大変満足し、本盤のレコード会社であるエラートに、今後2度と同曲を録音しないという誓約書まで書いたとの噂も伝えられているところである。

したがって、ロストロポーヴィチの円熟のチェロ演奏を聴きたいのであれば1985年盤を採るべきであろう。

ロストロポーヴィチが、これをもって最後のレコーディングにすると決めたことは、このCDを聴いた人には容易に理解できるだろう。

ロストロポーヴィチによるチェロ演奏は、超絶的な技量とそれをベースとした濃厚な表情づけで知られているが、楽曲によってはそれが若干の表情過多に繋がり、技巧臭やロストロポーヴィチの体臭のようなものを感じさせることがあった。

本盤に収められた両演奏においても、かかるロストロポーヴィチの超絶的な技量を駆使した濃厚な歌いまわしは顕著にあらわれているが、表情過多であるという印象をいささかも与えることがなく、むしろかかる濃厚な演奏が必然であると感じさせるのが素晴らしい。

肩の力が抜けている分、音がぐんぐん伸び、低音の朗々たるところなど、まさに比類ない。

驚異的なテクニック、「祈り」の様な深い情感は、聴き手に大きな感動をもたらし、多用されるピアニッシモも人工的にならず、表情の魔法のような変化が詩的で、聴く者の心を打つ。

チャイコフスキーも千変万化の名演で、心から勢いよく涌き出てくる作曲家からのメッセージや曲想をすばらしい技巧によって難なく自然にあますところなく表現している。

そして、ロストロポーヴィチによる濃厚なチェロ演奏をしっかりと下支えしているのが、小澤&ボストン交響楽団による名演奏である。

小澤は、しっかり自己主張しながらボストン交響楽団のいいところを引き出して独奏者の好演に華を添えている。

ロストロポーヴィチと小澤はお互いを認め合うなど肝胆相照らす仲であったことで知られているが、本演奏でも、小澤の指揮は音楽性が最高で、伴奏者としても敏感であり、ロストロポーヴィチへの深い尊敬を秘めた指揮ぶりで、彼のチェロ演奏を引き立てた見事な好パフォーマンスぶりを発揮していると高く評価したい。

ソリストに最大の敬意をはらいどこまでも純粋にその音楽を支えようという指揮者、そんなバックに最大の謝辞を示し、ともに高め合おうと慈愛を向けるソリスト。

それにしても小澤は、ソリストとどのような力関係にあったとしても、変幻自在に立ち回り良い仕事ができる、ソリストにとって理想的な指揮者なのではないだろうか。

小澤の、心地良い風が吹きぬけるような自然で繊細な演奏とその中で響き渡るロストロポーヴィチの朗々たるチェロの音。

これを聴いたらドヴォルザークもにっこり微笑むのではないだろうか。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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