2015年05月25日

ルービンシュタイン&ラインスドルフのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番、第3番


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素晴らしい名演だ。

ルービンシュタインは何を弾いても超一流の演奏を残した、前世紀最大の奏者の1人であることを再認識させられるものだ。

これは徹頭徹尾、ルービンシュタインの、ルービンシュタインによる、ルービンシュタインのための演奏と言える。

両曲とも、前奏のオケのトゥッティが堂々と鳴り響いた後、ほんの少し間をおいてからルービンシュタインの独奏が始まる。

歌舞伎で大見得を切る主役のようで、本当に「待ってました、千両役者」という掛け声をしたくなる、実に派手な登場である。

ルービンシュタインはベートーヴェンを大きな塊として豪快に、華麗に淀みなく弾いていて、ヴィルトゥオーゾという形容がこれほどふさわしい演奏もないだろう。

ルービンシュタインによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、第3番と言えば、何と言っても88歳の時にバレンボイム&ロンドン・フィルと組んで録音した1975年盤が随一の名演とされている。

これ以外にも、クリップス&シンフォニー・オブ・ジ・エアと組んだ1956年盤もあるが、本盤に収められた演奏はそれらの中間にあたる2度目の録音であり、バレンボイムとクリップスとの狭間に咲いた夜来香とも言えよう。

この時にも既にルービンシュタインは76歳に達しており、1975年盤において顕著であったいわゆる大人(たいじん)としての風格は十分である。

そして、超絶的なテクニックにおいては、衰えがいささかも見られないという意味においては1975年盤よりも本演奏の方が上である。

76歳とは思えないテクニックに驚かされるが、さすが、巨匠円熟の色気は圧倒的存在感だ。

もちろん大人としての風格は1975年盤の方がやや優っており、あとは好みの問題と言えるのではないだろうか。

もちろん、筆者としては、1975年盤の方を随一の名演に掲げたいが、本演奏もそれに肉薄する名演として高く評価したいと考える。

ルービンシュタインの演奏は、その卓抜したテクニックはさることながら、どのフレーズをとっても豊かな情感に満ち溢れていて、スケールも雄渾の極みであり、ルービンシュタインのピアノはいつでも何処でも、華麗で輝きに満ちている。

決して頭ごなしに睥睨するような威圧感はなく、格別主張が強い演奏でもないが、それでも聴き手に一縷の迷いも与えず、有無を言わせない迫力がある。

遅めのテンポで大きく深い呼吸で、音楽を息づかせ、それに腰の強いタッチを与えた名演で、音楽が進むにつれて調子が上がり、大柄で立体的な表現を成し遂げている。

単にピアノを鳴らすだけでなく、どの1音にも情感がこもっており、テクニックも桁外れのうまさで、強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで表現力の幅はきわめて広い。

ルービンシュタインの演奏を聴いていると、近年流行りの古楽器奏法であるとかピリオド楽器の使用による演奏が実に小賢しいものに思えてくるところであり、何らの小細工も施さずに堂々たるピアニズムで弾き抜いた本演奏(1975年盤も)こそは、真のベートーヴェン像として崇高な至純の高みに達している。

ラインスドルフ&ボストン交響楽団も、ルービンシュタインのピアノに率いられるかのように、常々の即物的な解釈は影を潜め、重厚ではあるが情感の豊かさを損なっていないのが素晴らしい。

ラインスドルフも伴奏に徹しているわけではなく、オケを目一杯鳴らして推進力のある演奏で対抗しているのであるが、ルービンシュタインはさらにその上を駆け抜けているのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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