2016年04月02日

カラヤン&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲全集(1960年代)[SACD]


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カラヤンはベルリン・フィルとともにDVD作品を除けば3度にわたってベートーヴェンの交響曲全集をスタジオ録音しているが、本盤に収められた全集はそのうちの1960年代に録音された最初のものである。

先般、当該全集のうち、「エロイカ」と第4番がシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化されたが、他の交響曲についても同様にシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化されるのには相当の時間を要することが想定されることから、この機会に全集についてもコメントをしておきたい。

カラヤン&ベルリン・フィルによる3つの全集のうち、最もカラヤンの個性が発揮されたものは何と言っても2度目の1970年代に録音されたものである。

1970年代は名実ともにカラヤン&ベルリン・フィルの黄金時代であり、ベルリン・フィルの一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブル、ブリリアントなブラスセクションの朗々たる響き、桁外れのテクニックを披露する木管楽器の美しい響き、そしてフォーグラーによる雷鳴のようなティンパニの轟きなどが一体となった圧倒的な演奏に、カラヤンならではの流麗なレガートが施された、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功していた。

また、1980年代に録音された最後の全集は、カラヤンの圧倒的な統率力に綻びが見られるものの、晩年のカラヤンならでは人生の諦観を感じさせるような味わい深さを感じさせる名演であるということが可能だ。

これに対して、本盤に収められた1960年代に録音された全集であるが、カラヤンがベルリン・フィルの芸術監督に就任してから約10年が経ち、カラヤンも漸くベルリン・フィルを掌握し始めた頃の演奏である。

したがって、1970年代の演奏ほどではないものの、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの萌芽は十分に存在している。

他方、当時のベルリン・フィルには、ティンパニのテーリヒェンなど、フルトヴェングラー時代の名うての奏者がなお数多く在籍しており、ドイツ風の重心の低い重厚な音色を有していたと言える(カラヤンの演奏もフルトヴェングラーの演奏と同様に重厚ではあるが、音色の性格が全く異なっていた)。

演奏はどれも優れたもので、オーケストラとの良好な関係を反映した覇気にあふれたアプローチがとにかく見事。

まだカラヤン色に染まりきらない時期のベルリン・フィルが、木管のソロなどに実に味のある演奏を聴かせているのも聴きどころで、ほとんど前のめり気味なまでの意気軒昂ぶりをみせるカラヤンの意欲的な指揮に絶妙な彩りを添えている。

したがって、本全集に収められた各演奏はいずれも、カラヤンならではの流麗なレガートが施された圧倒的な音のドラマにドイツ風の重厚な音色が付加された、いい意味での剛柔バランスのとれた名演に仕上がっていると評価したいと考える。

カラヤンの個性が全面的に発揮されたという意味では1970年代の全集を採るべきであろうが、徹頭徹尾カラヤン色の濃い演奏に仕上がっている当該1970年代の全集よりも、本全集の方を好む聴き手がいても何ら不思議ではないと考えられる。

録音については、リマスタリングを行ったとは言え、従来盤ではいささか生硬な音質であった。

しかしながら、その後本SACDハイブリッド盤が発売され、これによって生硬さがなくなり、見違えるような高音質に生まれ変わったと言えるところであり、筆者としてもこれまでは本SACDハイブリッド盤を愛聴してきた。

ところが、今般、当該全集のうち、「エロイカ」と第4番がシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化され、当該盤のレビューにも記したが、緑コーティングなども施されたこともあって、更に素晴らしい極上の高音質になったと言える。

前述のように全交響曲をシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化するには相当の時間を要するとは思われるが、カラヤンによる至高の名演でもあり、できるだけ早期に全交響曲をシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化していただくよう強く要望しておきたいと考える。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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