2015年07月01日

小林研一郎&アーネム・フィルのチャイコフスキー:交響曲第5番[SACD]


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小林研一郎は必ずしもレパートリーが広い指揮者とは言い難いが、その数少ないレパートリーの中でもチャイコフスキーの交響曲は枢要な地位を占めている。

とりわけ、交響曲第5番は十八番としており、相当数の録音を行っているところである。

エクストンレーベル(オクタヴィア)に録音したものだけでも、チェコ・フィルとの演奏(1999年)をはじめとして、日本フィルとの演奏(2004年)、本盤のアーネム・フィルとの演奏(2005年)、アーネム・フィル&日本フィルの合同演奏(2007年)の4種の録音が存在している。

小林研一郎は、同曲を得意中の得意としているだけにこれらの演奏はいずれ劣らぬ名演であり、優劣を付けることは困難を極め、どの演奏もそれぞれに思い入れがあって優劣つけがたい。

演奏という行為が一期一会の芸術だということがよくわかるところであるが、筆者としてはエクストンレーベルの記念すべきCD第1弾でもあった、チェコ・フィルとの演奏と本盤に収められたアーネム・フィルを双璧の名演に掲げたいと考えている。

小林研一郎の本演奏におけるアプローチは、熱気と理性のバランスがとれた豊穣な表現が見事であり、例によってやりたいことを全てやり尽くした自由奔放とも言うべき即興的なものだ。

同じく同曲を十八番としたムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるやや速めの引き締まったテンポを基調する峻厳な名演とは、あらゆる意味で対極にある演奏と言えるだろう。

緩急自在のテンポ設定、思い切った強弱の変化、アッチェレランドやディミヌンドの大胆な駆使、そして時にはポルタメントを使用したり、情感を込めて思い入れたっぷりの濃厚な表情づけを行うなど、ありとあらゆる表現を駆使してドラマティックに曲想を描き出している。

それを支えているのが、コンセルトヘボウに匹敵する由緒ある伝統(1889年創立)を誇り、かつてはベイヌムもヴィオラ奏者として在籍したというアーネム・フィルの暖かい音色で、内声が充実した弦楽セクションの豊かさは特筆ものである。

感情移入の度合いがあまりにも大きいこともあって、小林研一郎の唸り声も聴こえてくるほどであるが、これだけやりたい放題の自由奔放な演奏を行っているにもかかわらず、演奏全体の造型がいささかも弛緩することがないのは、まさに圧巻の驚異的な至芸とも言えるところだ。

これは、小林研一郎が同曲のスコアを完全に体得するとともに、深い理解と愛着を抱いているからに他ならない。

小林研一郎の自由奔放とも言うべき指揮にしっかりと付いていき、圧倒的な名演奏を繰り広げたアーネム・フィルにも大きな拍手を送りたい。

オランダの名門、アーネム・フィルはあまり知られていないオーケストラであるが、管楽器の音色も優しく陶酔的で、隅から隅までこの曲を手中に収めた炎のコバケンの指揮ぶりに、アーネム・フィルが新鮮な思いで触発されたのだろう。

オランダ各地での演奏会を経た上の充分なセッション録音で、存分に細部も磨かれている。

いずれにしても、本演奏は、小林研一郎のドラマティックな大熱演とアーネム・フィルによる豊穣な音色をベースとした名演奏が見事に融合した圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。

なお、併録の「くるみ割り人形」組曲は、どちらかと言うと一気呵成に聴かせる直球勝負の演奏と言えるが、語り口の巧さにおいても申し分がないと言えるところであり、名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

音質は、SACD盤ということもあって、マルチチャンネルが付いているというのが、いわゆる臨場感において、群を抜いた存在と言えるだろう。

いずれにしても、小林研一郎&アーネム・フィルによる圧倒的な超名演を心行くまで満喫するためには、是非とも本SACD盤で聴かれることをおすすめしておきたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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