2015年05月27日

キタエンコ&ケルン・ギュルツェニヒ管のチャイコフスキー:交響曲第4番、他[SACD]


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1876年から1877年にかけて作曲されたこの交響曲第4番。

この時期のチャイコフスキーは、メック夫人という素晴らしいパトロンを手に入れ、ようやく経済的な余裕が生まれ作曲に専念できるようになり、彼にとっては穏やかな日々がやってきたのである。

しかしながら、身にまとわりついた「同性愛疑惑」を晴らすだめに1877年に彼の元弟子であった娘と結婚するのであるが、これが失敗、精神的打撃を負った彼は自殺未遂を起こしてしまう。

そんな相反する生活の中でこのような素晴らしい作品が生まれたのはほとんど奇跡とでも言えるのではないだろうか。

そんなドラマティックな作品をキタエンコはいつものように冷静沈着に分析、決して感情に溺れることなく見事に音にしている。

本演奏を聴いて思うのは、ロシア系の指揮者にとってのチャイコフスキーの交響曲は、独墺系指揮者にとってのベートーヴェンの交響曲のような、仰ぎ見るような高峰に聳える存在なのではないかということだ。

というのも、キタエンコと同様に、チャイコフスキーの交響曲全集の録音を完成したプレトニョフもそうであるが、他の作曲者による楽曲、例えば、プレトニョフであればベートーヴェンの交響曲全集やピアノ協奏曲全集による演奏におけるようないささか奇を衒った個性的な解釈を施すということはなく、少なくとも演奏全体の様相としては、オーソドックスなアプローチに徹していると言えるからである。

キタエンコと言えば、カラヤンコンクールでの入賞後、旧ソヴィエト連邦時代のモスクワ・フィルとの数々の演奏によって世に知られる存在となったが、モスクワ・フィルとの演奏は、いわゆるロシア色濃厚なアクの強い演奏が太宗を占めていたと言える。

これは、この当時、旧ソヴィエト連邦において活躍していたムラヴィンスキー以外の指揮者による演奏にも共通していた特徴とも言えるが、これには、オーケストラ、とりわけそのブラスセクションのヴィブラートを駆使した独特のロシア式の奏法が大きく起因していると思われる。

加えて、指揮者にも、そうした演奏に歯止めを効かせることなく、重厚にしてパワフルな、まさにロシアの広大な悠久の大地を思わせるような演奏を心がけるとの風潮があった。

ところが、そうした指揮者の多くが、スヴェトラーノフのような一部例外はあるが、旧ソヴィエト連邦の崩壊後、ヨーロッパの他国のオーケストラを自由に指揮するようになってからというもの、それまでとは打って変わって洗練された演奏を行うようになった。

キタエンコについても、それが言えるところであり、本演奏においても、演奏全体の外観としては、オーソドックスなアプローチ、洗練された様相が支配していると言えるだろう。

もっとも、ロシア風の民族色を欠いているかというとそのようなことはなく、ここぞという時の迫力は、ロシアの広大な悠久の大地を思わせるような力強さに満ち溢れている。

そして、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のドイツ風の重厚な音色が、演奏全体にある種の落ち着きと深さを付加させているのを忘れてはならない。

いずれにしても、本盤の演奏は、キタエンコによる母国の大作曲家であるチャイコフスキーへの崇敬、そしてキタエンコ自身の円熟を十分に感じさせる素晴らしい名演と高く評価したいと考える。

そして、本盤の素晴らしさは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

SACDの潜在能力を十二分に発揮するマルチチャンネルは、臨場感において比類のないものであり、音質の鮮明さなども相俟って、珠玉の仕上がりである。

いずれにしても、キタエンコ&ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団による素晴らしい名演を、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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