2015年05月29日

ヴァント&ケルン・ギュルツェニヒ管のブルックナー:交響曲第8番/ブラームス:交響曲第2番、第4番


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



ヴァントが北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者の就任前に長らく音楽監督を務めたケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団との録音集。

ヴァントは、1990年代に入ってブルックナーの交響曲の崇高な超名演を成し遂げることによって真の巨匠に上り詰めるに至ったが、ブルックナーの交響曲を数多く演奏・録音してきたヴァントが、最も数多くの録音を遺した交響曲は、何と言っても「第8」であった。

ヴァントは、本演奏の後も、ケルン放送交響楽団との演奏(1979年)、NHK交響楽団との演奏(1983年)、北ドイツ放送交響楽団との3度にわたる演奏(1987年ライヴ録音、1990年東京ライヴ録音、1993年ライヴ録音)、ミュンヘン・フィルとの演奏(2000年ライヴ録音)、ベルリン・フィルとの演奏(2001年ライヴ録音)の7度にわたって録音を行っており、本盤の登場を持って同曲を8度にわたって録音したことになるところだ。

いずれ劣らぬ名演と考えるが、この中で最も優れた名演は、ミュンヘン・フィル及びベルリン・フィルとの演奏であるというのは衆目の一致するところであろう。

本演奏の性格はケルン放送交響楽団とのスタジオ録音に近いものと言える。

ヴァントがいまだ世界的なブルックナー指揮者としての名声を獲得していない壮年期の演奏であるだけに、1990年代における神々しいばかりの崇高な名演が誇っていたスケールの大きさや懐の深さはいまだ存在していないと言えるところであり、本盤の演奏を前述の1990年以降の超名演の数々と比較して云々することは容易ではある。

しかしながら、本演奏においても、既にヴァントのブルックナー演奏の特徴でもあるスコアリーディングの緻密さや演奏全体の造型の堅牢さ、そして剛毅さを有しているところであり、後年の数々の名演に至る確かな道程にあることを感じることが可能だ。

また、本盤の演奏においては、こうした全体の堅牢な造型や剛毅さはさることながら、金管楽器を最強奏させるなど各フレーズを徹底的に凝縮化させており、スケールの小ささや金管楽器による先鋭的な音色、細部に至るまでの異常な拘りからくるある種の神経質さがいささか気になると言えるところではあるが、それでも違和感を感じさせるほどでもないというのは、ヴァントがブルックナーの本質を既に鷲掴みにしていたからにほかならないと考えられる。

そして、本演奏には、壮年期のヴァントならではの畳み掛けていくような気迫と生命力が漲っており、その意味では、ケルン放送交響楽団とのスタジオ録音と同様に優れた演奏と言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本演奏は、世界的なブルックナー指揮者として世に馳せることになる後年の大巨匠ヴァントを予見させるのに十分な素晴らしい名演と評価したい。

ヴァントの剛毅で緻密な指揮にしっかりと喰らい付いていき、持ち得る実力を最大限に発揮した名演奏を披露したケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団にも大きな拍手を送りたい。

ブラームスの両交響曲も名演だ。

ヴァントによる演奏は、やや速めのテンポで一貫しており、演奏全体の造型は極めて堅固で、華麗さとは無縁であり、演奏の様相は剛毅かつ重厚なものだ。

決して微笑まない音楽であり、無骨とも言えるような印象を受けるが、演奏全体に漂っている古武士のような風格は、まさにヴァントだけが描出できた崇高な至芸と言える。

特に、「第4」は、淡々とした速めの進行の中に、実に豊かなニュアンスが込められており、まさに名人の一筆書きのような枯淡の境地が一点の曇りもなく表現されていて素晴らしい。

同じタイプの名演としては、シューリヒト(特に、晩年のバイエルン放送交響楽団との演奏)やムラヴィンスキー、クライバーの名演が思い浮かぶが、クライバーは深みにおいて一格下。

ということは、ヴァントによる名演も、同曲における屈指の名演の1つと評価しても過言ではないだろう。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 20:49コメント(0)トラックバック(0)ヴァント  

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ