2015年06月01日

スヴェトラーノフ&ソヴィエト国立響のレスピーギ:ローマ三部作(1980年ライヴ)


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これは世紀の珍盤として有名なものだ。

かつて多くのスヴェトラーノフ・ファン、オーケストラ・ファンが待ち望んでいた、ヤフー・オークションで5万円で取り引きされたという恐るべき演奏である。

その後、輸入盤として異常なベストセラーを記録しただけに、本演奏は既に伝説化している感があるが、改めて聴いてみても、スヴェトラーノフならではの重厚でパワフルに押し切るという重量級の凄い演奏だ。

何しろ、多少の乱れなど気にせず突き進むエネルギー感といい、ここまでやるかという思い切って野蛮な表現といい、耳をつんざくような轟音といい、誰もが驚く強烈なライヴ録音なのである。

良くも悪くもスヴェトラーノフの強烈な体臭が最大限に押し出されており、謎の邪教徒秘密儀式といった猟奇的な雰囲気と、爆弾が次々に炸裂するような迫力は類を見ない。

《ローマの噴水》は、まず「夜明けのジュリアの谷の噴水」の繊細で情感豊かな音楽に魅了されるが、次の「昼のトレヴィの噴水」の凄まじい大音響は、あたかもあたり一面が大洪水になったかのような圧巻の迫力だ。

《ローマの松》も、「ボルジア荘の松」のゆったりとしたテンポによる粘着質の音楽からしてユニークであるが、凄いのは「アッピア街道の松」。

あたかも旧ソヴィエト軍の示威進軍のような圧巻の迫力を誇っており、アッピア街道を踊り狂いて渡っていくかのようであり、特に終結部のいつ終わるとも知れない強引さには、完全にノックアウトされてしまった。

実に13秒間(!)に及ぶ最後の和音が終わった後のブラヴォーも1980年当時のモスクワでのコンサートとしては異例の強烈さである。

《ローマの祭り》は、まさにスヴェトラーノフの独壇場で、唸る低弦といい、どろどろしたブラスの咆哮といい、スピーカーの前がお祭り騒ぎになるのは間違いない。

「チルチェンセス」はゆったりとしたテンポによる粘着質の音楽であるが、猛獣の唸り声を模した金管楽器の咆哮は凄まじいの一言であり、阿鼻叫喚の世界を構築する。

「五十年祭」のテンポはさらに遅く、トゥッティにおけるトランペットの耳をつんざくような音色は強烈そのもの。

超スローテンポと相俟って、あたかも巨大な壁画を思わせるような壮大な音響世界の構築に成功している。

「主顕祭」はスヴェトラーノフ節全開で、すべての楽器を力の限り咆哮させており、狂喜乱舞とも言うべき圧倒的な熱狂の下に全曲を締めくくっている。

いずれにせよ、作曲家の発想をここまで露わにした演奏も他になく、過去の『ローマ三部作』の名演とは一味もふた味も異なる異色の演奏とは言えるが、聴き終えた後の充足感においては、過去の名演に一歩も引けを取っていない。

『ローマ三部作』を初めて聴く人にはお薦めできないが、日常に飽き足りない人、何か強力な刺激を求めている人にはこのCDは最適と言えるだろう。

スヴェトラーノフの個性的な指揮の下、ソヴィエト国立交響楽団がロシア臭芬々たる爆演を披露している点も高く評価したい。

フランス印象派音楽の亜流と見なされがちなレスピーギをこんなふうに演奏できるのかという衝撃と同時に、なるほどスヴェトラーノフは特に晩年各地のオーケストラに客演していたが、ここまで凄まじい演奏は手兵以外とはできないであろうことは容易に推測できる。

リマスタリング・エンジニアには天才イアン・ジョーンズを迎え、万全を期しての復刻されたとのことで、その音質も鮮明、文句のつけようのない素晴らしさだ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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