2015年06月04日

ケンペ&ウィーン・フィルのウィンナ・ワルツ、ポルカ、序曲集


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これは素晴らしい名演だ。

ウィンナ・ワルツを収めたCDは数多く存在しているが、本盤は、その中でも最も魅力的な名演の1つと言ってもいいのではないだろうか。

どの曲も大変優れた演奏で、出世街道を驀進し、欧米を股に掛けて演奏活動を行いつつあったケンペの自信に満ちた音楽作りが味わえる。

立派な演奏だし、オケがウィーン・フィルなのだから、商品価値は十分高いと考えられるが、音源を保有するEMI本体はなぜか発売していない。

おそらくはケンペという地味な指揮者では売れないと踏んでいるのだろうが、これは素晴らしいワルツで、活きの良さが素晴らしく、オケをダイナミックに響かせる指揮ぶりが堪らない。

ケンぺは、ベートーヴェンやブラームス、そしてブルックナーの交響曲などにおいて、ドイツ風の重厚な名演の数々を成し遂げていた指揮者だけに、どちらかと言えば謹厳実直で質実剛健な演奏を行うというイメージが付きまとっていると言っても過言ではないところだ。

しかしながら、本盤のような愉悦に富んだ名演を聴いていると、ケンペは必ずしも質実剛健一辺倒の演奏を行っていたわけではなく、むしろ、ケンペという指揮者の表現力の幅広さ、多彩さ、そしてその豊かな音楽性を窺い知ることが可能だ。

ケンペのウィンナ・ワルツと言えば、シュターツカペレ・ドレスデンとの録音が有名であるが、この旧盤におけるウィーン・フィルとの録音も美しい。

ケンペの手にかかると、さらに丁寧 上品さが際立ち、ドレスデンとの再録音とはまた違ったウィーン独特の音色が堪らない。

それにしても、演奏全体に漲っているリズミカルな躍動感は、ウィンナ・ワルツの演奏としては申し分がない理想的なものと言えるところであり、とりわけ喜歌劇「こうもり」序曲の畳み掛けていくような気迫や強靭さは圧倒的な迫力を誇っており、聴いて思わず度肝を抜かれるほどだ。

それでいて、ケンペならではのドイツ風の重厚さも随所に聴かれるところであり、レハールのワルツ「金と銀」やヨゼフ・シュトラウスのワルツ「天体の音楽」の重心の低い深沈たる味わいの深さには抗し難い魅力がある。

ケンペのワルツは軽やかなウィーン風ではなく、堅固ないわゆるドイツ風であるが、その極めつけがこの「金と銀」。

純ドイツ風に堅実で真面目一途、にこりともしないようなケンペだが、なぜか「金と銀」が大好きで、ステレオになってからウィーン・フィルでまずレコーディング、さらにシュターツカペレ・ドレスデンで再録音している。

どちらも曲への思いのたけをすべて吐露したような名演で、ケンペ得意の曲なのであろう、堂々と自信たっぷりに演奏しており、そのドラマティックな演奏は、これを凌駕する演奏にまだお目にかかってない。

一部オーケストレーションを変えているところさえあるが(そのセンスがまた素晴らしいのだ)、シュトラウスのワルツよりも魅力的な「金と銀」を、ケンペぐらい真正面からシンフォニックに取り組み、しかも絶品のニュアンスでロマンティックに歌わせ、燦めかせた演奏は、他に皆無と言えよう。

その他の演奏も名演であり、かかる演奏は、もはやウィンナ・ワルツという領域を超えた、ベートーヴェンやブラームスの交響曲などにも比肩し得る至高の芸術作品のレベルに達していると言っても過言ではあるまい。

そして、このようなドイツ風の重厚な演奏を行っているにもかかわらず、いわゆる野暮ったさなどはいささかも感じさせず、愉悦性を失わないというのは、大芸術家ケンペだけに可能な圧巻の至芸とも言うべきであろう。

そして、ウィンナ・ワルツを演奏させたら他の追随を許さないウィーン・フィルによる名演奏が、ケンペによる重厚な演奏に独特の潤いと温もりを付加させているのを忘れてはならない。

オケが上手いというのは当然として、現在のウィーン・フィルではなかなか聴けない当時の豊かなオケのサウンドと、ケンペのメリハリを付けた音楽による名演が連続する。

いずれにしても、本演奏は、あまた存在するウィンナ・ワルツ集の中でも、トップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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