2015年06月24日

ブッフビンダー&ウィーン響のモーツァルト:ピアノ協奏曲集


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ルドルフ・ブッフビンダーが1997年から翌98年にかけてウィーン・コンツェルトハウスで行った定期演奏会からモーツァルトのピアノ協奏曲20曲と『ロンドニ長調』を9枚のCDに収録している。

ようやく日本でも実力が知られてきた感があるウィーン系ピアニスト、ブッフビンダーのモーツァルト:ピアノ協奏曲集。

このセットの特徴は全曲ブッフビンダーがウィーン交響楽団を弾き振りしたライヴ音源からのCD化で、コンサートの期間も集中していたために彼の楽曲に対する解釈にも、またCDの音質の面でも一貫した統一感がある。

近年ブッフビンダーはライヴ録音を精力的に行っているが、それはオーガナイズ側の制作費の節減もあるだろうが、一方で彼自身の演奏に取り組むポリシーの実現化であることは疑いない。

モーツァルトのピアノ協奏曲集には幾多の名盤があり選択肢が多いが、ピアノもオケも、音をしっかりと鳴らし、素直な表現で、美しい演奏を聴かせてくれる。

ブッフビンダーのピアノは、気品に溢れ明快であり、モーツァルトに誠実に取り組む姿勢が伝わってくる。

ここではウィーン系のピアニストが地元のオーケストラを弾き振りしていることも重要な鑑賞ポイントになるだろう。

ブッフビンダー自身はボヘミア出身だが、5歳の時からウィーン音楽アカデミーで学んだことで、彼は伝統的なウィーンの奏法を身につけている。

弾き振りだけあってウィーン交響楽団とのバランスが絶妙で、ピアノの音が実に優雅である。

ブッフビンダーの先輩にはモーツァルトの権威でもあるバドゥラ=スコダを筆頭にグルダ、デムス、ヘブラーなど錚々たるピアニストがいるが、彼らの中で系統的なモーツァルトのピアノ協奏曲全曲を録音したのはヘブラーだけのようだ。

尚このセットは全曲集ではないが代表的な作品は総てカヴァーしている。

また弾き振りではペライア、ポリーニ、内田光子などの先例があるにしても、オーケストラを巧みに統制しながら瑞々しい音色をオーケストラから引き出した指揮者としての手腕も流石だ。

ブッフビンダーの弾き振りの秘訣はその合わせ技にあると思う。

それはおそらくブッフビンダーの長期間に亘るアンサンブル・ピアニストとしてのキャリアの賜物だろう。

確かにブッフビンダーの参加したアンサンブルはどの曲も核心をつかんだ手堅い演奏だ。

協奏曲の場合でもオーケストラを自分に従わせると同時に、自らが積極的に合わせていく姿勢はひとつの練達の技と言える。

この協奏曲集でもソロを突出させることなくオーケストラから自然にピアノ・パートを浮かび上がらせる采配と、彼のクリアーなタッチから生まれる煌めくような音色が印象的だ。

それぞれの曲に対する解釈は比較的すっきりしていて、そこにウィーン流のシンプルさと音楽の流れを止めない流麗な表現がある。

短調で書かれた第20番や第24番でも深刻になり過ぎず、良い意味での軽さを失わずに極めて整然とした様式感を感知させているところにもウィーン趣味が表れている。

現役のピアニストでこれだけ真摯に自然体でモーツァルトを弾く人は貴重な存在と言えるところであり、ピアノ・ソナタへの取り組みも期待したい。

収録曲はピアノ協奏曲第5、6、8、9番、第11番から第18番、第20番から第27番までの20曲と、ピアノとオーケストラのための『ロンドニ長調』だが、ひとつにまとめられたボックス仕様ではなく、それぞれが独立したジュエル・ケースに入った9枚のCDの集合体であるために、枚数のわりにはかさばるのが欠点だ。

独、英語によるモーツァルトのピアノ協奏曲についてのコメントと、演奏者紹介を掲載したパンフレット程度の数ページのライナー・ノーツが各CDごとに挿入されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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