2015年06月16日

バックハウス&クラウスのブラームス:ピアノ協奏曲第2番(1953年ライヴ)


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ベートーヴェンを演奏して最高の巨匠であったウィルヘルム・バックハウスは、また、ブラームスでも比類のないピアニズムを示して、技巧は豪快、深い精神美とストイックな抒情性で、独特の威厳を感じさせる名演を聴かせた。

ことにブラームスの2曲のピアノ協奏曲は、バックハウスが生涯を通じて愛奏した作品であった。

とりわけピアノ協奏曲第2番は1903年という19歳の時、ハンス・リヒターの指揮で初の公開演奏して以来お得意の曲で、1954年春、初めて(そして最後の)来日した時にも東京交響楽団の定期演奏会(1954年4月12日)に上田仁の指揮により弾いている。

さらに、最後のザルツブルク音楽祭となった1968年夏のベーム指揮、ウィーン・フィル演奏会(1968年8月18日)と、同じ顔合わせによるバックハウス最後の協奏曲録音(1967年4月、ウィーン・ゾフィエンザール)でも、ブラームスの第2番がとりあげられた。

そしてこのベームとは、遥かSPレコード時代の昔にも、ザクセン国立管弦楽団の共演で《第2》をレコーディングしているのである。

いわば、ブラームスのピアノ協奏曲第2番こそ、大ピアニスト、バックハウスの名刺代わりの名曲に他ならなかった。

バックハウスを古くから聴いてきたファンの1人として思うのだが、SPとモノーラル録音のLP、そしてステレオと、前後3回にわたるブラームスの《第2》のバックハウスを聴くと、どれもベストの出来とは言えないところであり、やはり1953年にウィーンのムジークフェラインザールでライヴ録音された、クレメンス・クラウスと共演した本盤が最上の出来映えである。

歳をとっても技巧の衰えや造型力の弱まりを見せなかったバックハウスだけに、1953年という69歳の時点は全盛期のさなかと言って良かったし、指揮のクラウスもまた、端正で気品と格調の高さを感じさせる表現が円熟の極みに達して、ウィーン・フィルから至高のブラームスの響きを導き出している。

当時のウィーン・フィルに、戦後の立ち直りの早さを聴きとり、第1ヴァイオリンにボスコフスキーとバリリが並び、木管にカメッシュ(Ob)、ウラッハ(Cl)、エールベルガー(Fg)、ホルンにフライベルクといった名人級の奏者が健在だったことを想像するのも、この《第2》でのオーケストラの出来映えが、ウィーン・フィルとしても最高の水準を聴かせてくれることによる。

第1楽章、柔らかいホルンの呼び声に応じて出現するピアノの、穏やかだが精神力の込められた含蓄の深い演奏の何という雰囲気か。

木管につづくピアノのカデンツァで、次第に力感を凝集させる左手の低音、ブラームスの音楽のファンダメンタルは、この低音の雄弁さによって支えられる。

管弦楽の第1、第2主題提示の、どこか明るい響きの陰翳こそ、クラウスの表現のすばらしい聴きどころだろう。

管弦楽のシンフォニックな構成に包まれて、バックハウスのピアノは曲が進むにつれて光彩と迫力を増し、情感のふくよかさ、技巧の切れ味で圧倒的なクライマックスを作り出す。

第2楽章スケルツォをリードするピアノの厳しい表情と弦の優美な主題の見事な対比、スタッカート主題で始まる中間部の管弦楽の彫りの深さに、オクターヴをppで奏するピアノが反応する個所のバックハウス。

第3楽章でチェロ独奏が歌って行くロマンティックな旋律は、ブラームス・ファンの愛惜してやまぬ情緒の美しさだが、それを装飾するかのごとく弾くピアノの控えめな表情、軽やかなタッチ、内省的で、まさに絶妙なピアノとウィーン・フィルの弦が呼応する。

第4楽章では、バックハウスの力量と音楽性がさらに圧倒的な凝集力を見せ、クラウス指揮のきりりと引き締まったリズム感と厳しいダイナミックスは、いっそうの直截さでピアノと手を結ぶ。

1953年という録音年代にしては、管弦楽の自然な響きで捉えられ、バックハウスのピアノも力強さと柔らかいニュアンスももって再生され、古いけれど良好な音質である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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