2015年07月02日

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのブラームス:交響曲第2番、他(1978年ウィーン・ライヴ)


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筆者は、ウィーンに行くと、必ずウィーン国立歌劇場と、ムジークフェライン・ザールに行くことにしている。

ムジークフェライン・ザールは、コンサート専用のホールで、「黄金大ホール」といわれているように、ホールの内装は金ピカで、古き良き時代のオーストリアが、いかに音楽に対して贅をつくしていたかがよくわかる。

このホールは、音響効果の優れていることでも有名で、ホール全体が、あたかも楽器そのもののようである。

このロシアの巨匠ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団によるディスクは、1978年の6月、ウィーン芸術週間に、このホールで行われた演奏会のライヴ録音である。

このコンビによるブラームスの交響曲第2番の録音は、いままでに何枚か出ているが、今回のは、それらのものを遥かに凌ぐ名演奏で、この曲を完全に手中に収めた、悠然たる構えの表現である。

ムラヴィンスキーはドイツ古典派、ロマン派の音楽に深い造詣を持っていたことはよく知られている。

ムラヴィンスキーが来日公演で「ベト4」に聴かせたあの揺るぎなく格調の高い指揮ぶりは、優秀録音からもよく伝わってきて、深い感銘を残さずにはおかなかった。

この「ブラ2」でも堅固で明快な構成感を打ち出しながら、しかもその内側にブラームスのロマンをはっきりととらえた、力強く集中度の高い演奏を聴かせてくれる。

それはよく言われるようにこの交響曲の田園風の味わいというよりは、強靭で意志的なものを感じさせるが、そんなところがこの指揮者の厳しい格調に通じるものにも他ならないだろう。

眼光紙背に徹したスコアの読み方は人工的なほどだが、音として出てきたものはきわめて自然でしなやかで、純音楽的である。

淡々とした運びの中の自在な表情と無限の息づき、強弱のたゆたいや寂しさ、魔法のようなテンポの動きなど、センス満点の名演だ。

驚かさせられるのは、驚異的なダイナミックレンジの広さであり、フィナーレ冒頭の弱音とコーダにおける想像を絶する巨大さとの対比、それも先へ行くに従いどんどん熱を帯びて調子があがっていく様を当時の観客と共有できる。

さらに第2楽章の中間部から終わりまでの恐ろしいまでの充実度、ムラヴィンスキーの神業に震えがくる思いがする。

興味深いのが、まぎれもないブラームスの音楽でありながら、チャイコフスキーを思わせる部分が多々あることだ。

第1楽章終結部の弾むようなリズム感、また第3楽章中間部の木管の軽やかなアンサンブルなど、バレエ指揮で鍛えたムラヴィンスキーならではの独特な解釈にうならされる。

また、全体に音色が透明で、ことに弦楽の冷たい響きはロシア音楽のように聴こえる。

ただしロシア物を指揮するムラヴィンスキーと、ブラームスを指揮する彼では、微妙な相違があったような気がする。

ブラームスの場合には、どこか醒めていて、陶酔に陥るのを避けるべく自らをコントロールしているような演奏ぶりだ。

例えば第4楽章は、なんとも情熱的な演奏ぶりで聴き手を圧倒するものがあるが、ムラヴィンスキーその人は、仕掛人として終始冷静にことを運び、熱狂の渦の外に立っているようだった。

その姿は、まさしく「謹厳で冷徹な指揮者」というにふさわしいものであり、まさに「ロシアの大指揮者の目を通したブラームス」として目から鱗が落ちる思いがした。

そのうえ、巨匠的風格が曲のすみずみまでに滲み出ており、ライヴ独特のきりりと引き締まった緊張感が何とも素晴らしく、激しく心を揺さぶられる。

ウェーバーの「オベロン」序曲の演奏にも同様のことがいえ、ムラヴィンスキーはオーケストラをきりりと引き締め、一分の隙もない厳しい表現を行っている。

録音はムジークフェラインの響きとしてはやや乾いた印象を与えるとはいえ、一連の旧ソヴィエト録音よりはるかに条件は整っており、ムラヴィンスキーによる同曲の録音といえば、まずこの演奏を聴く必要があろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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