2015年07月23日

ギュンター・ヴァント/放送録音集 1951〜1992


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最近独自のリマスタリング技術を駆使したレギュラー・フォーマットのリニューアルCDで話題を呼んでいるドイツのレーベル、プロフィールから分売されていたギュンター・ヴァントのラジオ放送用音源を20枚のセットにまとめたもの。

1951年から92年の40年間に亘って集積された古典から現代までの幅広いレパートリーからは、彼の律儀で堅実な音楽に秘められた多彩を極めた表現力とオーケストラ統率の力量に改めて驚かされる。

また当時の録音技術もさることながら、リマスタリング後の音質が非常にクリアーであることも特筆される。

ヴァントが指揮するオーケストラはバイエルン、ケルン、北ドイツ、シュトゥットガルトの放送交響楽団及びケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団で、彼が最晩年に共演した超一流の楽団ではないにしても、稽古熱心だった彼によって修錬された機動力と柔軟性を兼ね備えていて、どの演奏ひとつをとっても期待外れには終わらない。

それは取りも直さずドイツのオーケストラの水準の高さとその裾野の広さを物語っている。

それぞれの放送局によってオーガナイズされたセッションや放送用ライヴだけに、ヴァントの実力が手堅く示された質の高いアルバムとしてお薦めしたい。

ヴァントのモーツァルトはどの曲を聴いても整然とした秩序の中に溢れるような情熱と喜びが託されているが、この録音集の中では最も古い1951年のデニス・ブレインを迎えたホルン協奏曲第3番がセールス・ポイントのひとつで、モノラルながらブレインの切れの良いストレートな演奏を聴くことができる。

2年後のカラヤン&フィルハーモニア盤に比べればケルン放送交響楽団にやや乱れがあるのが残念だが、ヴァントが熱っぽくサポートしているのが特徴だ。

その他の作曲家の協奏曲でのソリストも充実していて、例えばCD4ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番をギレリス、CD16では同第4番をカサドシュが弾いているし、CD7サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番をリッチが、そしてCD9ストラヴィンスキーの『ピアノ、管楽器、コントラバスとティンパニのための協奏曲』及びCD12ハイドンのピアノ協奏曲ニ長調ではニキタ・マガロフ、同オーボエ協奏曲ハ長調を当時ベルリン・フィルの首席になったばかりのシェレンベルガーが、CD15R.シュトラウスのホルン協奏曲第1番ではヘルマン・バウマンのそれぞれが協演している。

またCD5オルフの『カルミナ・ブラーナ』ではヨッフム&ベルリン・ドイツ・オペラ盤に比較すればソリストではいくらか引けを取っているとしても、全体的にはこの曲の解放的な野趣や輝かしい力強さと、一方で確実に統制された形式美を両立させていることは注目に値する。

ドイツの公共放送では現代音楽も多く採り上げていて、彼らの新しい音楽作品に対する嗜好を示していて興味深いが、20世紀の作品群としては他にメシアン、ヴェーベルン、フォルトナー、ツィンマーマン、リゲティ、ストラヴィンスキー、ヒンデミット、ベイルド、ブラウンフェルスなどの作品を冷徹な楽曲分析によって、しかし一方で決して醒めた即物的な音楽にしないヴァントの手腕には恐るべきものがある。

ライナー・ノーツに歌詞対訳は付いていない。

またジャケットが何故かひとつひとつ封印してあり、開封が少し煩わしい。

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classicalmusic at 20:58コメント(0)トラックバック(0)ヴァント  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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