2015年08月09日

フリッチャイ/生誕100年記念BOX


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1914年生まれで生誕100周年を迎えた指揮者はフリッチャイを筆頭にジュリーニ、クーベリック、コンドラシンなどの巨匠が揃っていて、彼らは既に全員他界しているが多くの優れた録音も残してくれた。

フリッチャイは4人の中では最も若くして48歳で世を去ったが、その精力的な演奏活動はグラモフォンへの集中的なレコーディングという形で彼の芸術のエッセンスが記録されている。

今回の45枚組コンプリート・エディションは第1巻で、今年リリースが予定されている第2巻にはオペラ及び声楽曲が編集されるようだ。

これらの音源には既に廃盤の憂き目に遭ったものが少なからずあり、今回のバジェット価格での復活を歓迎したい。

とりわけ自国ハンガリーの作曲家の作品の解釈において、フリッチャイは現在でもオールド・ファンには殆んど究極的なサンプルとして聴き継がれている。

こうしたレパートリーで彼は洗練と原初的なパワーを両立させ、1曲1曲を珠玉のように磨き抜いてその力量を示した。

その鋭利な感性はこのセットに含まれる他の20世紀の音楽にも良く表れている。

一方でまたオーケストラを鍛え上げる優れた手腕を発揮した点でも彼の楽壇への貢献は無視できない。

例えば後のベルリン放送交響楽団の原形になるRIAS交響楽団は、戦後の混乱期にあって非常に高い技術水準と指揮者の要求に応える柔軟な機動力を備えていたが、それはフリッチャイの修錬の賜物でもあるだろう。

ちなみにブダペスト音楽院時代のフリッチャイの師であったバルトークとコダーイには計6枚のCDが当てられている。

この集大成に先駆けてプラガ盤においても、フリッチャイによって綿密に考慮された音楽設計と聴き手を呪縛するような恐ろしいほどの緊迫感の持続は尋常ならざるものがあったが、それだけにフリッチャイの余りにも早過ぎた死が今更ながら惜しまれる。

ベルリン・フィルを振ったベートーヴェンの交響曲集では、第1及び第8番のみがモノラルでその他は良好なステレオ録音で残されているが、第2、第4、第6番を欠いている。

音楽の造形を明確に表現し、むやみにスケールを大きくしようとしたり尊大になったりしない真摯で丁寧な音響作りによってそれぞれの作品の持ち味をダイレクトに伝えているのが特徴だ。

個人的にはゼーフリート、フォレスター、へフリガー、フィッシャー=ディースカウをソリストに配した第9番がLP時代に聴き古した名演で、簡潔な中に充分な歌心を織り込んだ密度の濃い仕上がりになっている。

ベートーヴェンでは他にアニー・フィッシャーとのピアノ協奏曲第3番、アンダ、シュナイダーハン、フルニエが加わる『トリプル・コンチェルト』、また『エグモント序曲』などでも音楽性豊かで個性的な演奏を聴かせている。

新しいリマスタリングの記載はなく、古いモノラル録音も多く含まれているので、これまで以上の音質は期待していなかったが、流石に本家ドイツ・グラモフォンのオリジナル・マスターからの復刻だけあって鑑賞には全く不都合のない極めて良好な状態だ。

ライナー・ノーツは107ページほどあり、71ページまでがディスク別の曲目一覧と録音データに費やされていて、続いて英、独、仏語によるトゥリー・ポッター、エルザ・シラー、ユーディ・メニューインのエッセイが掲載されている。

最後の数ページにこのセットに収録された総ての曲のアルファベット順作曲家別の索引が付いているのも親切な配慮だ。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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