2015年08月25日

アバド追悼盤BOX


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アバドの追悼盤の中でもその充実した内容が特筆されるセットである。

39枚のCDにはドイツ及びロシア系の音楽への造詣が深かったアバドらしく、バッハの『ブランデンブルク協奏曲』全6曲を始めとするドイツ系の作曲家の作品には17枚、そしてチャイコフスキーの交響曲全集やムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』全曲を含むロシア物に15枚のCDが割り振られている。

中でもCD4枚強をカバーするムソルグスキー作品集では『展覧会の絵』こそないが、純管弦楽版とコーラス付の異なった2種類のヴァージョンによる『禿山の一夜』や『ホヴァンシチーナ』からセレクトされた幾つかのシーンを加え、ロシア人指揮者顔負けのレパートリーを披露している。

また歌物では誰にも引けを取らなかったアバドだけに、ここでも都合3曲のオペラ全曲盤と独唱やコーラス入りの作品にその資質が縦横に発揮されているのが注目される。

また量的に一番少ないのは皮肉にもイタリアの作品群だが、ロッシーニ序曲集及び彼自身による150年ぶりの蘇演後完全に手中に収めた『ランスへの旅』や、ヴェルディ序曲集と『シモン・ボッカネグラ』などが収録されている。

一方アバドが得意とした現代音楽からは曲数こそ少ないが、彼が力を注いだジャンルだけに際立った演奏を聴くことができる。

例えばルイジ・ノーノの『断ち切られた歌』はファシズムの犠牲者となったレジスタンスの死刑囚の手紙を扱った作品で、アバドの精緻なアプローチと柔軟な感性が鮮烈な音響と結びついたセッションだ。

その他にも五嶋みどりとの協演になるショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番、アイザック・スターンとピーター・ゼルキンを迎えたベルクの『室内協奏曲』、更にレーガーやリームの作品を採り上げてその真価を改めて問い直している。

最後の2枚はミラノ・スカラ座管弦楽団のピックアップ・メンバーによるバッハの『ブランデンブルク協奏曲』全曲で、1975年から76年にかけてのリコルディ・レーベルへの録音になる。

この時期スカラ座管弦楽団はまだ劇場から独立したオーケストラではなかったが、彼らの手腕と豊富な音楽経験に着目したアバドによって1982年にスカラ座フィルハーモニーとして劇場以外でも自主公演する団体に再組織される。

その頃既にローマのサンタ・チェチーリア音楽院の卒業生によって結成されたアンサンブル、イ・ムジチ合奏団がヴィヴァルディの『四季』で大ヒットを飛ばしていたが、スカラ座はミラノのヴェルディ音楽院の出身者が多く、アバド自身も、そして第5番でチェンバロ・ソロを弾いているブルーノ・カニーノも例外ではない。

それゆえ我々にも第一級のバロック音楽が演奏できるという自負と対抗意識がなかったとは言えないだろう。

中庸を得た整然とした解釈にカンタービレを欠かすことのないアバド特有の美学が象徴的だ。

尚楽譜出版社リコルディの録音状態も上々で、鮮明な音質だけでなく、左右の分離状態、臨場感も極めて良好だ。

ライナー・ノーツは87ページあり、英、独、仏語による簡易なアバドについてのコメントと全オリジナル・ジャケットの写真付曲目一覧の他にも、アバドのスナップも多数掲載されている。

ボックス・サイズは縦13X横13,5X奥行き11cmでシンプルだがしっかりした装丁。

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classicalmusic at 21:02コメント(0)トラックバック(0)アバド  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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