2015年07月10日

クーベリック/シンフォニー・エディション


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ラファエル・クーベリックが1963年から76年にかけて精力的にドイツ・グラモフォンへ録音したベートーヴェン、シューマン、ドヴォルザーク及びマーラーの交響曲全曲を23枚のCDに集大成したバジェット盤。

既に当レビューで各々の演奏の批評を述べたところであるが、未だこれらの録音をお持ちでない方には、廉価盤BOXとしてまとめて聴かれることを望みたい。

メインの交響曲の他にシューマンの序曲『ゲノフェーファ』『マンフレッド』、ドヴォルザークでは『スケルツォ・カプリッチョーソ』、序曲『謝肉祭』、交響詩『野鳩』が加わっているが『スラヴ舞曲集』は除外されている。

クーベリックはそのほかにも多くの交響詩、協奏曲や序曲集、あるいはフィッシャー=ディースカウとのマーラーの『さすらう若人の歌』などの優れたセッションをグラモフォンに残しているので、更に第2集が出ることを期待したい。

また近々ライバルのワーナーからは同じく彼の生誕100周年の記念企画としてHMV音源全曲のリリースも予定されているようだ。

クーベリックの常に明快でパッショネイトな音楽への取り組み方はどの曲を聴いても明らかだが、それは決して感情に任せた即興的なものではなく、ダイナミズムの配分が良く計算された強い説得力を持ったオリジナリティーに溢れている。

クーベリックは沈潜した内省的な表現よりも外に向かって発散する光彩のような音楽を作り上げることを得意とした、言ってみれば理論を感性に完全に移し換える術を知っていた指揮者だったと思う。

ベートーヴェンでは9つの名門オーケストラを彼が1曲ずつ振り分けるという奇抜な企画だったが、それが決して散漫な交響曲集に終わらず、それぞれのオーケストラの個性を発揮させながら、クーベリックの音楽的ポリシーを十全に表現し得たところに価値があるだろう。

例えばベルリン・フィルとの第3番『英雄』の第2楽章ではそのドラマティックな手法に驚かされる。

シューマンはこのセットの中では最も古い1963年及び64年のセッションで、やはりベルリン・フィルとの旧録音だが、その若々しさと爽快感が如何にもクーベリックらしい。

一方彼の故郷チェコの音楽に関しては熱狂的な愛国心を鼓舞するような強い情熱が漲っているが、このベルリン・フィルとのドヴォルザークではむしろ洗練の境地が示されて、スケールの大きな独自の完璧な世界を創造している。

最後のマーラーはクーベリックの手兵バイエルン放送交響楽団の鍛え抜かれた柔軟なアンサンブルと千変万化のカラフルな音色を駆使した、起伏に富んだメリハリのある表現が魅力だ。

特に新しいリマスタリングの記載はないが、音質はきわめて良好。

ライナー・ノーツは51ページで、収録曲目一覧とクーベリックのキャリアについてのコメントが英、独、仏語で掲載されている。

声楽が入る曲に関しては英語対訳が付けられ、最後に録音データがまとめられている。

クラムシェル・スタイルではなく縦型のボックス全体を覆う蓋を上に取り外すタイプ。

ボックス・サイズは枚数のわりには大きめの縦13X横13,5X厚み7,5cmのしっかりした装丁で好感が持てる。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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