2015年08月24日
ジュリーニ/ソニー録音全集
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昨年2014年は奇しくもカルロ・マリア・ジュリーニとラファエル・クーベリックの生誕100周年に当たる。
既に2人の指揮者のリイシュー・アルバムやセット物が矢継ぎ早にリリースされているが、この22枚の演奏集は、ジュリーニが1989年から95年までにソニーに録音したバロックから20世紀に至る13人の作曲家の作品を、ヨーロッパを代表する6つのオーケストラで演奏した彼の円熟期の至芸が堪能できるコレクションだ。
晩年のジュリー二のテンポはやや遅めだが、じっくり鑑賞すれば決して弛緩した表現でないことが理解できるだろう。
むしろ作品のディティールを曖昧にすることなく、常に明快なアプローチでありながらオリジナリティーに富んだファンタジーを横溢させる手腕は、まさに巨匠の名に相応しいものではないだろうか。
また総てのセッション及びライヴがデジタル録音ということもあって音質の点でも他のセットを凌駕している。
企画ではグラモフォン音源と合体させたコリア盤に先を越されているが、単価的にはかなり割安になっているのも事実だ。
ベートーヴェンではイタリア勢を揃えたセッションが興味深い。
ミラノ・スカラ座フィルはいくらか線の細い明るい音色を持ったオケなので、重厚なベートーヴェンを好む方には意見が分かれるところだが、トスカニーニ時代から鍛えられた外国の作品に対する彼らの柔軟な姿勢が示されている。
コンセルトヘボウを振ったドヴォルザークでは大きなスケールの中に託した燃えるような情熱と抒情が良い意味でスペクタクルな効果を上げている一方で、色彩感溢れる『火の鳥』、限りない繊細さと幻想で極上のメルヘンの世界を描いた『マ・メール・ロワ』や『パヴァーヌ』、予想外にドラマティックな光彩を放つ『海』などのフランス物も注目される。
フランクの2曲はどちらもライヴで聴衆の拍手と歓声が入っているが、特に交響的変奏曲はそれほど演奏の機会に恵まれない珍しいレパートリーだけに、このメンバーでの演奏は貴重だ。
またベルリン・フィルとの金管楽器を惜しげもなく前面に出した壮麗な『展覧会の絵』も聴き応えのある仕上がりをみせている。
声楽曲が充実しているのもこのセットの魅力で、バッハの『ミサ曲ロ短調』を始めとする宗教曲のきわめて流麗だが知的なセンスを持った真摯な解釈もジュリーニらしい。
尚ラヴェルの『マ・メール・ロワ』は同音源が2回収録されている。
これは過去の2度のリリースによるだぶりだが、オリジナルのカップリングで両方とも入ることになったようだ。
パッケージはクラムシェル・スタイルではなく、縦型ボックスで蓋を上から完全に取り外すタイプ。
それぞれのジャケットは紙製だが折り返しのある丁寧な装丁で、取り出し口が下向きの収納になるのでディスクが抜け出ないように工夫されている。
ライナー・ノーツは上質紙で47ページあり英、独、仏語によるジュリー二の演奏についての簡易なコメントと、全オリジナル・ジャケット写真入の曲目一覧及び録音データを掲載しているが、歌詞対訳は省略されている。
ボックス・サイズは縦13、横13,5、奥行き8,5cmの大きめのコレクション仕様。
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