2022年09月07日

巨匠ロリン・マゼールの追悼盤🧑‍🎨才人の行き着いた最後の境地👴意外と知られることのなかった晩年の芸術を偲ぶに相応しいヴェルレク😢


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2014年7月13日、84歳で亡くなった巨匠ロリン・マゼールの追悼盤として、亡くなる5か月前にミュンヘン・フィルと演奏したヴェルディの『レクイエム』が登場。

オペラも含めて幅広いレパートリーを網羅していたマゼールであるが、古今の宗教曲でも指折りの名曲は、1990年(モスクワ・フィル)と2007年(トスカニーニ没後50年・トスカニーニ響)の2種のライヴ映像がDVD化されたことがあるのみで、LP、CD時代を通じて録音はなかった。

マゼールは2014年4月以降公演をキャンセルし、さらにミュンヘン・フィル音楽監督からの降板も表明したので、このヴェルレクはマゼールによるほぼ生涯最後の演奏記録の一つということになる。

それだけにマゼールの同曲に賭ける情熱のほどが窺われる。

特に「怒りの日」総奏部分の爆発的な音量と最後の審判を体現するような激情的な表現は聴きどころで、少しも枯れてなどいない。

勿論ここでは彼の創造した音響効果だけではなく、一方で緻密に計算された弛むことのない緊張感とそれを維持する凄まじい集中力が聴きどころだ。

ソロ歌手のキャスティングでは、この曲を歌うのに最も相応しいと思われる実力重視の抜擢が功を奏している。

それは4人の歌唱力に限ったことではなく、重唱部分では和声の微妙なモジュレーションの連続があり、正確な音程の維持と移行という高度なアンサンブルのテクニックが要求されるが、その意味でもこのメンバーは万全だったと言えるだろう。

バレンボイム指揮ミラノ・スカラ座との同曲でも圧倒的な名唱を示したハルテロスはバルチェッローナとのオクターヴのユニゾンで、しかもア・カペラで始まる「アニュス・デイ」の天上的な美しさや、最後のコーラス「リベラ・メ」に入る前の「レクイエム・エテルナム」の神々しさは感動的だ。

ヴェルディの『レクイエム』はミラノ出身の文豪アレッサンドロ・マンゾーニ追悼のために作曲されたもので、現在では宗教曲として実際に教会で演奏されることはそれほど多くない。

それはこの作品が如何にもヴェルディらしい劇場空間に相応しい華麗なオーケストレーションの音響と共に、ベルカントの泣き節的な曲想を持った声楽部分があたかも1曲のオペラのように展開するからで、それだけにオペラ劇場の演奏者によるセッションも少なくない。

その理由はオーケストラが厳格に統制されているにも拘らず、外側に向かって放出される解放的なエネルギーに満ちていて、異例のカタルシスを体験できるからだ。

ミュンヘン・フィルはマゼールが生涯の最後に辿り着いたオーケストラで、この演奏にも彼らの信頼関係が良く表れている。

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classicalmusic at 19:29コメント(0)ヴェルディ | マゼール 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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