2015年07月08日

ペーター・ダム&レーゼル/ホルンとピアノのためのフレンチ・ミュージック


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シュターツカペレ・ドレスデンを中心に活躍したペーター・ダムは既に現役を退いて久しいが、現代の名ホルン奏者の中でも最もヒューマンな感覚に溢れた演奏を残してくれた人ではないだろうか。

世界最古の歴史を誇る名門オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンは、現在でも伝統ある独特の音色において一目置かれる存在であるが、とりわけ東西ドイツが統一される前の1980年代頃までは、いぶし銀の重心の低い独特の潤いのある音色がさらに際立っていた。

そうした、名奏者で構成されていたシュターツカペレ・ドレスデンの中でも、首席ホルン奏者であったペーター・ダムは、かかるシュターツカペレ・ドレスデンの魅力ある独特の音色を醸し出す代表的な存在であったとも言えるだろう。

ペーター・ダムのホルンの音色は、同時代に活躍したジャーマンホルンを体現するベルリン・フィルの首席ホルン奏者であったゲルト・ザイフェルトによる、ドイツ風の重厚さを持ちつつも現代的なシャープさをも兼ね備えたホルンの音色とは違った、独特の潤いと温もりを有していたとも言えるところだ。

ペーター・ダムの奏法は息づくような自然なヴィブラートのかかった滑らかなカンタービレが魅力で、本盤に収められたフランスの作品集には彼のそうしたリリカルな面が縦横に発揮されている。

その一方で現代の作曲家の作品ではホルンのあらゆる技巧が披露され、テクニシャンとしても面目躍如たるものがある。

穏やかな曲ではクリアーな音色とソフトな歌心でメロディーに微妙な陰影を与え、オペラのアリアさながらに流麗だし、時として快活なエスプリを利かせた軽快さが生粋のドイツ人であってもこうしたのラテン系の作品に野暮な印象を残さない。

そこにペーター・ダムのすこぶる柔軟で洗練された感性が窺える。

ここではまたソロ・ピアニストとして活躍しているペーター・レーゼルの気の利いた、しかも手堅い伴奏が花を添えている。

冒頭に置かれたフランセの『ディヴェルティメント』ではユーモアたっぷりの表現が秀逸で、ファゴットを髣髴とさせる軽妙でおどけた急速楽章とそれに挟まれたアリアの対比も巧妙だ。

またビュセールの『サンテュベールの狩』は特有の色彩感の表出がこの小品に神秘的な趣きを醸し出しているし、いまやホルンのための古典的名曲になったデュカスの『ヴィラネル』には、どのフレーズにも楽器の特性を知り尽くしたペーター・ダムの機智が反映されていて、その変化に富んだ多彩な奏法には驚かされる。

最後の『プレリュード、主題と変奏』の作曲者ロッシーニは晩年パリに居を構えていたので、フランス趣味の作品として取り入れられているが、タイトルも『老いぼれのしでかした罪』という意味のフランス語で書かれた全14巻からなる作品集の第9巻に収められている。

カンタービレを思う存分歌ったテーマと、軽やかな高音部と豊かだが決して重苦しくならない中低音が交錯するヴァリエーションがホルンの持ち味を満喫させてくれる。

この音源はペーター・ダムが首席奏者だったシュターツカペレ・ドレスデンのレコーディング・スタジオとして使われているルカ教会で1985年に収録され、ドイツ・シャルプラッテンのクラシック部門ベルリン・クラシックスからリリースされた。

適度な残響を伴った音質は極めて良好。

なお、ペーター・ダムの魅力的なホルンの音色は、モーツァルトのホルン協奏曲集や、ホルンが大活躍するブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」においても聴くことが可能であるということを付記しておきたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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