2015年08月16日

スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンのモーツァルト:オーケストラル・ワーク集


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スウィトナーがシュターツカペレ・ドレスデンと完全に協調して引き出して見せた色彩豊かな音響と柔軟な解釈が快いモーツァルトだ。

いずれも秀演で、モーツァルト解釈家としてのスウィトナーの存在を強く印象づける。

彼らは古典派の作曲家の作品としての様式感を失うことなく、かつスケールの大きい爽快なモーツァルトに仕上げている。

シュターツカペレ・ドレスデンのサウンドは味わい深く、しかも全てがよい意味での良識と中庸を感じさせる表現で、溌剌としたリズムによる流動感の豊かなモーツァルトである。

室内楽風に編成を小さくしているので音の透明度が高く、アンサンブルの細部まで透けて見えるようだ。

しかも木管などしっとりとして味わい深く、あらゆる意味でモーツァルトの美しさを満喫させる名演と言えよう。

スウィトナーにとっては自国の作曲家でもあり、彼自身モーツァルトのスペシャリストたる自負があったと思うが、この6枚組の中でも彼の実力が端的に示されているのが一連の交響曲集で、『ジュピター』に代表されるようなオーケストラを大らかに歌わせる柔軟な力強さや終楽章の迸り出るようなフーガ、またそれぞれの曲の緩徐楽章で醸し出す一種の官能的な美学は彼独自のセンスだ。

いずれも典雅でふくよか、明快な印象を与える演奏は、現代における最も円満なモーツァルト集成といってよい。

スウィトナーのすぐれた音楽性を示した演奏であり、妥当なテンポと典雅な表情、柔らかい旋律線と爽快なリズムが渾然一体となって、実に端正に音楽をつくっている。

かつての大指揮者たちのスケールの大きさはないが、古典主義的な作品の様式を素直に受けとめ、あるがままを描いており、全体はきわめて音楽的だ。

シュターツカペレ・ドレスデンの古雅で晴朗な響きと完全に息の合ったアンサンブルの美しさは、他には求められない魅力であり、モダン楽器による現代のコンサート・スタイルの演奏としては第一級の表現だ。

シュターツカペレ・ドレスデンのような日頃オペラやバレエ上演に携わるオーケストラは、その仕事の性質から個人のスタンド・プレーよりも全体の一部として演奏を支えることや、また即興性に応じる能力が習慣的に養われているものだが、ここでもそうした特色が良く表れていると同時に、彼らはスウィトナー楽長時代に随分垢抜けた演奏をするようになったと思う。

一方でドイツ伝統の重厚さや堅牢な音楽はここぞという時に発揮されるが、この時代彼らは早くも西側の指揮者との多くの共演によって、より視野の開けた演奏を可能にしたと言えないだろうか。

最後の1枚に収められている2曲のピアノ協奏曲のソロはアンネローゼ・シュミットで、彼女は如何にもドイツのピアニストらしい、やや硬質だが小気味良いタッチと飾り気のない表現が、スウィトナーの柔和で包み込むようなサポートと軽妙なコントラストをなしている。

旧東ドイツの音楽産業を一手に受け持っていたレコード・メーカー、ドイツ・シャルプラッテン社は西側の大手に較べれば日本での知名度は低かったが、クラシック・ジャンルをリリースするベルリン・クラシックスの音源には演奏水準が高く、音質の良いものが少なくなかったことは熱心なファンの間で知られていた。

このセットの録音は1961年から76年にかけて行われたものだが、録音場所は明記されていない。

おそらく彼らのレコーディング・スタジオで、オーケストラル・ワークには理想的な音響空間を持っているセント・ルカ教会と思われる。

尚ライナー・ノーツにはオーケストラ名がシュターツカペレ・ベルリンとなっているが、ボックスとそれぞれのジャケットには総てシュターツカペレ・ドレスデンと記載されているので、これは明らかにライナー・ノーツの方が誤植だろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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