2015年08月16日
パッパーノ&サンタ・チェチーリア国立アカデミー管のロッシーニ:序曲集
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アントニオ・パッパーノ指揮/サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団(ローマ)の2014年来日記念盤。
前回の来日公演で観客に大熱狂を起こした「ウィリアム・テル」序曲他、このコンビならではのレパートリー。
イタリアを代表する管弦楽団による、イタリアを代表する作曲家ロッシーニの迫力あるクライマックスが炸裂するサウンドに魅了される作品。
アントニオ・パッパーノは既にロッシーニのオペラ全曲上演を数多く手がけていることもあって、こうした序曲集にも彼のオリジナリティーに満ちたアイデアが横溢している。
ロッシーニのオーケストレーションは基本的に厚いものではないが、協奏曲顔負けのソロ・パートの名人芸によって彩られていて、むしろ陳腐だが劇的なクレッシェンドやアッチェレランドを間を縫って効果的に書かれている。
はっきり言ってロッシーニの音楽には苦悩も晦渋もない。
聴こえてくる音そのものが勝負だから、それを如何に美しく、そして一糸乱れずにまとめあげるかに演奏の良し悪しがかかっていると言える。
パッパーノはサンタ・チェチーリアの首席奏者達の鮮やかなソロを前面に出しながら、どの曲も比較的シンプルだが生き生きとした臨場感溢れる音楽に仕上げている。
大曲『セミラーミデ』でも分厚い音響を創るのではなく、明快なラインを聴かせているし、『ウィリアム・テル』の「夜明け」でのチェロの五重奏はかつて聴かれなかったほど官能的で、続く「嵐」の激しさと強いコントラストをなしている。
最後の『アンダンテ、主題と変奏』は、ソリストとしても活躍しているフルートのカルロ・タンポーニ、クラリネットのアレッサンドロ・カルボナーレ、ファゴットのフランチェスコ・ボッソーネ及びホルンのアレッシオ・アッレグリーニの首席4人による完全なアンサンブルで、それぞれがテーマを綴れ織のように装飾していく華麗な小品だが、彼らの趣味の良い音楽性とアンサンブルのテクニックを披露した1曲として楽しめる。
イタリアではサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団が、スカラ座フィルハーモニー管弦楽団と並んで国内外で純粋なオーケストラル・ワークも演奏する名門オーケストラだが、彼らもやはり創設以来劇場用の音楽作品上演の豊富な経験を積んでいる。
前任のチョン・ミュンフンに続くパッパーノとの相性も良く、こうした作品では楽員の持っている情熱がしっかり統率されたチーム・ワークが聴きどころのひとつだろう。
2008年から2014年にかけてのライヴとセッションを集めた音源で、ロッシーニの音楽には欠かせない、切れの良いリズム感と鮮烈な音響をオン・マイクで捉えた極めて良好な音質。
今回の録音会場も前回のレスピーギと同様、ローマのパルコ・デッラ・ムージカにあるサーラ・サンタ・チェチーリアで行われた。
2002年にチョン・ミュンフンのこけら落としでオープンした2756名収容のホールで、残響は満席次で2,2秒を誇っているが、亡きヴォルフガング・サヴァリッシュの指摘でその後音響の改善がされている。
確かに大規模な管弦楽には適しているが、コーラスが加わる作品では残響が煩わしくなる傾向が否めない。
ちなみにパルコ・デッラ・ムージカには1133席のサーラ・シノーポリ、673席のサーラ・ペトラッシの3つのコンサート・ホールが向かい合わせに並んでいる。
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団は、パッパーノが音楽監督に就任した2005年にヴァティカンの旧アウディトリウムから引っ越して、こちらに本拠地を構えている。
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