2015年07月12日

バッハ:トラヴェルソ・コレクション


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この6枚組のセットはソニー・ヴィヴァルテからのリイシュー物で、既に入手困難になっているCDをまとめてプライス・ダウンしているのがセールス・ポイントだ。

最初の1枚はマンハイム楽派を中心とした4曲のフルート協奏曲とグルックの『精霊の踊り』を収めている。

トラヴェルソの持つ木質特有のソフトで温かく、しかも色彩感溢れる音色を活かしたバルトルド・クイケンの名人芸を堪能できる理想的なセッションだ。

使用楽器はカール・シュターミッツの作品のみアウグスト・グレンザーの8キー・モデル、その他は同ワンキー・モデルで、最後のグルックのソロ・パートは彼の弟子でカナダの女流トラヴェルソ奏者クレール・ギモンに替わっている。

オーケストラはカナダのピリオド楽器使用のバロック・アンサンブル、ターフェル・ムジークで、いずれも1991年の録音。ピッチは全曲ともa'=430。

CD2−3はC.Ph.エマヌエル・バッハのオブリガート・チェンバロ付の10曲のフルート・ソナタ集で、このうち変ホ長調及びト短調はBWV番号の付いた、かつては父大バッハの作として考えられていたものになる。

エマヌエル・バッハにはこの他にチェンバロのパートを記していない通奏低音付のソナタを更に11曲残しているが、クイケンはそれらをアクサン・レーベルからリリースしている。

1993年のセッションで使用楽器はクイケンのトラヴェルソがアウグスト・グレンザーのワン・キー・モデル、一方ヴァン・アスペレンの弾くチェンバロは二段鍵盤のミートケ・モデルでピッチはa'=415。

CD4は、18世紀に北ヨーロッパの芸術の都となったベルリン宮廷で演奏された作品集で、当時フリードリヒ大王のもとで活躍した作曲家の7曲のソナタが選ばれている。

奏法の異なるさまざまなトラヴェルソを使い分けるクイケンの巧みなテクニックは言うまでもないが、ここでは1750年製作のクヴァンツ・2キー・モデルを使っている。

通奏低音のチェロは兄のヴィーラント・クイケンで、彼は1570年製のアンドレア・アマーティのオリジナル、そしてヴァン・アスペレンのチェンバロはミートケ・モデルになる。1995年の録音でピッチはa'=415。

CD5−6はJ.S.バッハのソナタ集で、トラヴェルソはフランス・ブリュッヘンに替わる。

ブリュッヘンは横笛の演奏に関しては友人でもあるクイケンの実力を充分に認めていたようで、トラヴェルソ演奏のサンプルはそれほど多くないが1973年及び75年に録音されたこのソナタ集と『無伴奏パルティータイ短調』はその代表的なセッションだ。

改めて聴き直してみるとクイケンほど精緻ではないにしても、なかなか味のある高い音楽性を持ったパフォーマンスとしての魅力がある。

当時ブリュッヘンは古楽の新星と言われただけあって、そのフレッシュな解釈と意欲的な試みは古楽器奏者としてパイオニア的な意義を持っていただけに歴史的にも貴重な演奏だ。

因みにクイケンが第1回目のバッハのフルート・ソナタ全集を録音したのは1988年のことなので、ブリュッヘンの挑戦が如何に画期的なものであったか想像に難くない。

使用楽器は1773年にシェーラーが象牙で製作したオリジナルで、筆者の記憶に間違いがなければ、現在このトラヴェルソは有田正広氏の所蔵になっている筈だ。ピッチはa'=415。

尚その他のいくつかのトラックは『無伴奏パルティータ』を5種類の異なった楽器で演奏した例で、原曲のオールマイティー的な性格を象徴している。

最後はロ短調ソナタの第1楽章をバロック・アンサンブル用に編曲した興味深い演奏だ。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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