2015年07月12日

ムーティ&ウィーン・フィルほか[ザルツブルク音楽祭ドキュメント]


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ザルツブルク音楽祭での収録年の異なるふたつのコンサートより、キャリア駆け出しのムーティがウィーン・フィルを指揮した演奏内容を編んだアルバム。

リッカルド・ムーティのザルツブルク音楽祭でのライヴから3曲を収めたCDで、前半の2曲が1972年8月17日に同地のグローセス・フェストシュピールハウスで演奏されたロッシーニのオペラ『セミラーミデ』序曲及びシューマンの『ピアノ協奏曲イ短調』で、ソリストにはスヴャトスラフ・リヒテルを迎えている。

後半は1974年7月27日にクライネス・フェストシュピールハウスでのモーツァルトの『協奏交響曲変ホ長調』で、ソロ・ヴァイオリンに当時のウィーン・フィルのコンサート・マスターだったゲルハルト・ヘッツェル、ソロ・ヴィオラには同首席奏者ルドルフ・シュトレングをそれぞれ配している。

ムーティのザルツブルク・デビューは1971年にカラヤンから招待された時で弱冠30歳だった。

このライヴはその翌年のもので、プログラミングの上でも既にムーティのストラテジーが良く表れている。

ムーティはコンサートの冒頭にしばしばイタリア・オペラの序曲を持ってくる。

しかもウィーン・フィルのようなオーケストラでロッシーニのクレッシェンドを思う存分聴かされた聴衆の精神状態は、いやがうえにも高揚してくる。

こうしたオーケストラのウォーミング・アップと聴き手の感覚を呼び覚ますファンファーレを兼ねた効果的な選曲がここでも功を奏している。

シューマンでは鉄拳のように振り下ろされるリヒテルの打鍵が、ムーティの指揮する毅然としたウィーン・フィルの上に冬の月光さながらに冴えた演奏で、リヒテルのソロは時として近寄り難い孤高の峻厳ささえ感じさせるが、ムーティはそれを包み込むだけの熱い情熱と巧みな采配で、リヒテル自身も次第に勢いに乗ってくる様子が興味深い。

第2楽章での弦楽器を引き立たせるカンタービレや、終楽章のソロとの堂々たる受け応えは若かったムーティの奮闘振りを示している。

かたや巨匠リヒテル、また一方ではうるさ型のプレーヤーが揃っているウィーン・フィルという二者をまとめあげ、両者の能力を活かしてみせた力量は流石だ。

モーツァルトでソリストを務めるヘッツェルは少年時代からヴォルフガング・シュナイダーハンに師事してウィーン流の奏法を会得した、まさにウィーン・フィルの顔だったが、先輩のシュトレングと組んだ『協奏交響曲』での線は細いが軽やかで典雅なロココ風の趣は、替え難い美しさを持っている。

ここではムーティ得意のイタリア風の明るく伸びやかなモーツァルトを心掛けていて穏やかな幸福感を感じさせてくれる。

尚ライナー・ノーツは29ページで独、英語による比較的充実したエピソードが掲載されているが、後半部はオルフェオ・レーベルのザルツブルク音楽祭ライヴCDのカタログになっている。

録音状態はこの手のライヴとしては良好なステレオ録音で、いくらかこもった感じの音質はボリュームを上げることによってかなり改善される。

またテープの劣化が原因と思われる若干の音揺れが聞かれるが大勢には影響ない。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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