2016年03月17日

ヤナーチェク特集盤


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ワーナー20世紀クラシックス・シリーズのひとつで、この2枚組のCDにはレオシュ・ヤナーチェクの代表作『シンフォニエッタ』、『グラゴル・ミサ』、ピアノと室内楽のための『コンチェルティーノ』、『消えた男の日記』、ヴァイオリン・ソナタ等13曲が収められている。

このシリーズの中では比較的録音が新しく、鮮明な音色でヤナーチェクのエッセンスが鑑賞できるのが特徴だ。

20世紀の作曲家の中には自国の民族的なエレメント、つまり言語やリズム、メロディーを分析して作品に取り入れる例が少なくない。

その最も徹底した手法をとったのがハンガリーのコダーイとバルトークだろう。

しかしまたヤナーチェクもその1人で、彼は出身地のモラヴィア地方の言葉や民謡を熱心に研究した。

同じチェコの先輩ドヴォルザークは民族色溢れる曲想を多く盛り込んだが、ヤナーチェクはロマン派的な洗練という方法を取らず、むしろ土の薫りのするような音楽をそのまま楽曲に映し出した。

それは時として唐突といえるほどダイレクトで泥臭いが、ある時にはまた八方破れの斬新な印象を与えてくれる。

管弦楽のための『シンフォニエッタ』もその例外ではない。

指揮者サイモン・ラトルもそのあたりを良く心得ているようで、細部にこだわり過ぎることなく、大らかでたくましい曲趣を再現している。

ヤナーチェクはラトルにとって、デビュー当時から思い入れの深い重要なレパートリーで、本盤の演奏に見られる切れば血が吹き出てくるような圧倒的な生命力や、切れ味鋭いテンポ設定などには、現在の偉大なラトルを彷彿とさせるような豊かな才能を感じさせる。

フィルハーモニア管弦楽団を起用したのも成功しており、冒頭のファンファーレなど実に輝かしくて巧い。

バーミンガム市交響楽団との協演になる『グラゴル・ミサ』は、そのスラヴ的な厳粛さとスケールの大きさは流石だが、声楽のソリスト陣がいくらか力み過ぎているのが気になるところだ。

声楽曲の中ではイアン・ボストリッジが原語で歌う『消えた男の日記』が圧巻だ。

この曲では、田舎の因習に縛られて生きる若者の逸脱した恋と衝撃的な結末が見事に描き出されている。

筆者はチェコ語もその方言も全く分からないし、このシリーズでは歌詞対訳が省かれているので、訳詩をダウンロードする必要があった。

勿論対訳を読みながら聴いても一言一句の意味を知ることはできないが、ボストリッジの真に迫った歌唱からはヤナーチェクが望んでいた表現が少なからず実現されているように思う。

少なくともポストリッジの発音は明瞭を極めていて、かなり学習したことが窺える。

現代ではあらゆる声楽曲を原語で歌う習慣が定着しているが、それは作曲家が原詩のアクセントやイントネーションを尊重しながら曲を付けていくために、意味を優先せざるを得ない訳詩ではそうした言葉と音楽を密接に繋ぐ特性が失われてしまうからだ。

その意味でボストリッジのチェコ語への挑戦は非常に好感が持てる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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