2015年08月02日

シュムスキーのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ


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名匠オスカー・シュムスキー(1917-2000)の本邦初のソロ・アルバム(国内盤は既に廃盤)が本盤に収められたバッハの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》であった。

シュムスキーは1917年フィラデルフィア生まれ。8歳のときストコフスキーの招きで、フィラデルフィア管弦楽団とモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番を弾いてデビュー、神童と騒がれた。

その後アウアー、ジンバリストに師事し、NBC交響楽団団員、プリムローズ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンなどを経て、1959年には指揮者としてもデビュー。当録音の行われた1975年からイェール大付属音楽学校で教鞭を執っている。

バッハの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》は、作曲されてから約300年が経っているにもかかわらず、今なお世界のヴァイオリニストが弾きこなすのを究極の目標とするというのは殆ど驚異である。

しかも、無伴奏のヴァイオリン曲という分野でも、このバッハの曲を超える作品は未だに存在しておらず、おそらくは、今後とも未来永劫、無伴奏のヴァイオリン曲の最高峰に君臨する至高の作品であり続けるものと思われる。

1つの楽器に可能な限り有効な音を詰め込み、表現の極限に挑戦したバッハの意欲的な創作と、調性による曲の性格の違いを明確に描かなければならない難曲でもある。

そのような超名曲だけに、古今東西の著名なヴァイオリニストによって、これまで数多くの名演が生み出されてきた。

そのような千軍万馬の兵たちの中で、シュムスキー盤はどのような特徴があるのだろうか。

本演奏でシュムスキーが奏でる1715年製のストラディヴァリウス“エクス=ピエール・ロード”の瑞々しい響きは実に豊かだ。

そしてその美しい響きが織り成すバッハの音楽が、いかに若々しく精神的に充実していることか。

シュムスキーの年季の入ったテクニックは見事で、いかなるパッセージも苦もなく弾き進む。

しかも、そこにはいわゆる難曲を克服するといった観はみじんもなく、聴き手のイマジネーションを大きくふくらませてくれる、スケールの大きなバッハだ。

これは言葉のもっともよい意味での「模範演奏」と言えるものとして高く評価されてしかるべきである。

たとえば〈シャコンヌ〉では、ヨーロッパで19世紀以来培われてきた「伝統的」な演奏法のエッセンスがこのなかに結実している。

逆に「古楽器派」の人にはそこが癪にさわるのも、まあわからなくもない。

世評の高いミルシテイン盤と比較してみると、ミルシテインのバッハを大理石の彫像とするなら、シュムスキーの演奏は木彫りのイエス像である。

前者の音はどこまでも磨き抜かれ、ボウイングに一切の淀みはなく、造型は限りなく気高い。

一方、後者は、ノミの一打ち一打ちに「祈り」が深く刻まれた音で、鮮やかな刃跡の何という力強さ、自在さ。

これぞ、名匠中の名匠の技と言えるところであり、瞼を閉じて聴こえてくるは、百万会衆の祈りの歌。

愛称「ケンブリッジの公爵」から紡ぎだされる悠久のフレージングは、遥かな歴史をも語っている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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