2015年07月19日

ベットのファン・エイク:『笛の楽園』より


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ヤコブ・ファン・エイク(1590-1657)の名曲集『笛の楽園』から20曲を抜粋したもので、このCDではイタリアの古楽器奏者ステファノ・ベットがトラヴェルソ・ソロで演奏している。

それぞれの曲がひとつのテーマとそのヴァリエーションから構成されていて、作曲家の豊かなファンタジーと手馴れた職人芸に改めて驚かされる。

同曲集は一般的に縦笛のための作品として解釈されているが、息の吹込みによって感情移入が可能で、ソフトな低音から輝かしい高音に至る表現力を持つトラヴェルソでの演奏がより効果的な曲想も多く含まれている。

それに着目しているのがベットで、ファン・エイクのの多彩な音楽性を更に多面的に再現している。

盲目の音楽家でカリオンや笛の名手でもあったファン・エイクの『笛の楽園』は、フランス・ブリュッヘンのリコーダー演奏による「涙のパヴァーヌ」(ダウラントの『溢れよ我が涙』からのテーマと変奏でこのCDではトラック12)以降一躍ポピュラーなコンサート・レパートリーに加わり、膨大な曲数に及ぶ全曲盤もリリースされるようになった。

しかしその殆んどの録音がリコーダーの演奏で、かつて横笛(トラヴェルソ)による演奏集は皆無に近かったが、その理由はおそらくファン・エイク時代のいわゆるルネサンス・フルートがソロ楽器としての機能を充分に備えていなかったからだろう。

このCDの演奏者ステファノ・ベットの使用楽器は16世紀から17世紀前半にかけて製作されたソプラノ(G管,a'=440Hz)、テノール(D,440)、バス(D,440)のコピー及び軍隊用横笛(D,460)で、これらの楽器の内部構造は円筒形のために澄んだ明るい音色が特徴だ。

また合奏から生じる豊かな倍音を含む響きが美しいので、しばしばアンサンブル用にセットで製作されたようだが、反面その単純なシステムから半音階の演奏や転調には明らかに不向きで音域的にも限界があった。

トラヴェルソに革新的な改良が加えられるのはファン・エイク以降だが、この時代の大らかでシンプルな笛の音色とソロが醸し出す雰囲気には替え難い魅力的な独自の世界がある。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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