2015年07月21日
カルミニョーラ&コンチェルト・ケルンのバッハ:ヴァイオリン協奏曲集
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バロック期やウィーン古典派のヴァイオリン音楽の泰斗であるカルミニョーラが、ついにバッハのヴァイオリン協奏曲をリリースしてくれた。
カルミニョーラから迸り出るようなドラマティックな表現が特徴的な協奏曲集だ。
それぞれの曲のテンポも快速で、彼らの演奏は時としてアグレッシヴになりがちだが、それはライナー・ノーツにも書かれているようにこうした協奏曲の持つイタリアン・バロックの曲趣を強調したもののようだ。
協奏曲やソナタの分野でバッハは同時代のヴィヴァルディの様式を好んで取り入れた。
それは当時のイタリアの音楽が簡潔な構成の中に名人芸を取り入れて特有の劇的な効果を上げていることに注目したからにほかならない。
このCDに収められた協奏曲は、いずれもバッハがイタリア趣味に開眼し、その音楽語法を完全に会得したケーテン宮廷楽長時代の作品とされている。
それゆえこの曲集の演奏では、彼の対位法的な手法の巧妙さよりもむしろ音響的な斬新さやスリルに満ちた再現が聴きどころだろう。
バロックの劇的な音楽性を再現したイタリア風バッハであり、バッハの音楽の多様な可能性を試みたひとつの優れたサンプルに違いない。
特に、他の追随を許さない非常に美しい音色と、随所に光る即興の妙は、まさにカルミニョーラの熟練の技のなせる所と言えよう。
カルミニョーラをサポートするのはピリオド・アンサンブル、コンチェルト・ケルンで、楽器編成を見ると第1ヴァイオリンがコンサート・ミストレスの平崎真弓を含めて4名、第2が3名、ヴィオラ及びチェロが各2名ずつに通奏低音のコントラバスとチェンバロが加わる計13名で、a'=415Hzのスタンダード・バロック・ピッチを採用している。
『2挺のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調』では平崎がソロの第1ヴァイオリンを担当している。
彼女はライプツィヒ国際バッハ・コンクール2位の受賞者で日本人の若手バロック・ヴァイオリニストとしてはこれからが期待される存在だが、演奏もカルミニョーラに引けをとらないほどの高い音楽性と気迫で互角に競っているところが頼もしい。
毎回カルミニョーラが録音に使うヴァイオリンはそれぞれが名器と言われているものだが、今回も前回のヴィヴァルディ協奏曲集と同様、ボローニャの名匠ヨハネス・フロレーヌス・グィダントゥスの手になる1739年製のオリジナル楽器を使用している。
2013年にケルンで録音されたセッションで、コントラバスの低音からチェンバロの響きに至る高音までがバランス良く採音された臨場感溢れる鮮烈な音質。
カルミニョーラファンのみならずバッハの愛好家を始めとする幅広い層に心からお薦めしたい稀有な録音である。
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