2022年08月03日
ベルギーの古楽アンサンブル、イル・ガルデッリーノのマンハイム楽派の1人として広くヨーロッパ各地にその足跡を残した作曲家エルンスト・アイヒナー:フルート四重奏曲集
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マンハイム楽派の1人として広くヨーロッパ各地にその足跡を残した作曲家で、ファゴットの名手でもあったエルンスト・アイヒナー(1740-1477)の6曲のフルート四重奏曲を収めたアルバムになる。
ベルギーの古楽アンサンブル、イル・ガルデッリーノの生気に溢れた、しかし気品のある息の合ったカルテットが美しい。
トラヴェルソ・ソロはこのアンサンブルの創設者で古楽器製作家のヤン・デ・ヴィンネ、それに2人の日本人奏者、ヴァイオリンの寺神戸亮及びヴィオラの秋葉美佳にチェロのクレール・ジャルデッリが加わっている。
中でも寺神戸はヨーロッパでも指折りのバロック・ヴァイオリン奏者として活躍を続けているが、幅広い表現力と正攻法のテクニックで、トラヴェルソと対等に扱われた書法での巧妙な合わせや掛け合いが秀逸だ。
デ・ヴィンネのトラヴェルソはどちらかと言えば素朴だが、非常に良くコントロールされた奏法で実力派の堅実な演奏という印象を受ける。
マンハイム楽派の隆盛とアイヒナーの室内楽がテーマのこのCD。
アイヒナーのフルート四重奏曲はバロック的な荘重さやドラマティックな曲想展開から脱皮した軽快なロココ・スタイルに洗練されている。
通奏低音のチェンバロが姿を消しているだけでなく、しばしば同音連打の上にクレッシェンドしていく典型的なマンハイムの手法が使われている。
また全曲ともこの時代特有の、軽く華やかなワン・キー・トラヴェルソの特徴とその調性を活かした2楽章形式で書かれている。
当時はモーツァルトも含めて、簡潔なふたつの楽章の音楽がインターナショナルなスタイルとして定着していたらしく、特に肩の凝らない室内楽には多用されたようだ。
フリードリッヒ大王の教師だったクヴァンツの時代から、横吹きのフルートはドイツを中心とする宮廷人の趣味の楽器としてもてはやされたのは広く知られたところだ。
マンハイムに宮廷を抱え、その楽団をヨーロッパ随一のオーケストラにした選帝侯カール・テオドール自身もトラヴェルソの愛好家として自分が参加するコンサート用の新曲を常に所望していたとされる。
またこの楽壇に所属していて、モーツァルトからも賞賛を受けた名手ヴェンドリングの影響もあってトラヴェルソが加わる室内楽や協奏曲が多くの作曲家によって作られているが、その1人が現代では存在が殆んど忘れられてしまったアイヒナーだ。
2006年のセッションでピッチはa'=415Hz。
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