2015年07月26日
グルダのモーツァルト、ウェーバー、R.シュトラウス[SACD]
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最近プラガ・ディジタルスからリリースされたSACDの1枚で、若き日のフリードリヒ・グルダが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第9番変ホ長調『ジュノーム』、ウェーバーのピアノ小協奏曲へ短調及びR.シュトラウスの『ブルレスケ』の3曲が収録されている。
モーツァルトはカール・ベーム指揮、バイエルン放送交響楽団による1969年9月のステレオ・ライヴで、ウェーバーがフォルクマー・アンドレーエ指揮、ウィーン・フィルとの1956年7月のウィーン・ゾフィエンザールでのモノラル・セッションになり、これは米ロンドン音源らしい。
そして最後のR.シュトラウスがベーム&ウィーン・フィルで1957年8月ザルツブルクにおけるモノラル・ライヴということになる。
このうちベームの指揮する2曲は、オルフェオ・レーベルからもレギュラー盤で手に入るが、いずれもSACD化によって更に高音の伸びと艶やかな響きが再現され、音場に奥行きが出ている。
どの曲でもグルダの軽やかで水面に映えて揺らめく光りのような音色が瑞々しい。
モーツァルトでは第2楽章でのウィーン流の屈託のない抒情が、ベームの巧妙なサポートによって可憐に浮かび上がっているし、またそれぞれの楽章の小気味良いカデンツァもいたってフレッシュで、当時39歳だったグルダの柔軟な感性を示している。
一方華麗なソロが展開されるウェーバーでは高踏的でリリカルな歌心とコーダに向かって邁進する推進力がコンパクトに表現されていて心地良い演奏だ。
またR.シュトラウスの『ブルレスケ』ではグルダらしい余裕を見せたパフォーマンスが特徴的で、こうした曲趣には彼のような高度な遊び心も効果的だ。
この時代のライヴとしては比較的音質に恵まれていて、ベーム&ウィーン・フィルの軽妙洒脱なオーケストラに乗ったグルダのウィットに富んだヴィルトゥオジティが聴きどころだろう。
このシリーズではグルダのSACDは1枚のみで、他のレパートリーも聴き比べてみたい気がするが、こうした古い音源のSACD化については、先ずオリジナル・マスターの質自体が問われる。
いくらDSDリマスタリングをしても録音自体の質やその保存状態が悪ければ奇跡的な蘇生は望めない。
プラガは過去にデータや音源の改竄で物議を醸したレーベルなので注意が必要だが、この曲集に関しては充分その価値が認められる。
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