2015年07月24日

シュタルケルのヒンデミット、プロコフィエフ、ラウタヴァーラ:チェロ協奏曲


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2013年4月に亡くなった名チェリスト、ヤーノシュ・シュタルケルが1970年代に南西ドイツ放送局のために録音した音源で、このCDにはシュタルケルが最も得意とした20世紀作品のヒンデミット、プロコフィエフ、ラウタヴァーラの3曲のチェロ協奏曲が収録されている。

少なくとも筆者の知る限りでは、協奏曲3曲はすべて正規盤初出の内容で、ヒンデミットを除いた2曲はシュタルケルのレパートリーとしても初めてのCD化である。

特にラウタヴァーラはシュタルケルに他の録音が無く、指揮者もブロムシュテットということで注目される。

プロコフィエフに関しては1956年のワルター・ジュスキント&フィルハーモニア管弦楽団とのセッションがワーナーから復活しているが、ここに収められているのは同曲からの改作op.125で、交響的協奏曲と改題され、音楽もより充実した内容に仕上がっている。

演奏はヒンデミットがフォン・ルカーチ指揮、SWRシュトゥットガルト放送交響楽団(1971年)、プロコフィエフはエルネスト・ブール指揮、ラウタヴァーラがブロムシュテット指揮になり、この2曲はバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団(1975年)との協演になる。

音楽的な質の高さは言うまでもないが、当時の音源としては音質的にも極めて良好な状態が保たれている。

3曲ともシュタルケルが得意とした20世紀の作品で、今もって彼の演奏がその解釈の面でも、またテクニックにおいても最高峰にあると思えるのは、近年こうした新しい時代の作品を一流どころのチェリストが余り積極的に採り上げないからかも知れない。

ヒンデミットでは色彩的でスペクタクルな堂々たるオーケストレーションに支えられたソロ・パートを、一瞬の隙をも見せない緊張感に貫かれた奏法で弾き切る彼の美学が面目躍如たるセッションだ。

またフィンランドの現役の作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラのチェロ協奏曲は規模は小さいが、チェロの音響的可能性を追究している点で注目される。

神秘的なフラジオレットによるアルペッジョがソロの重要なモチーフになっていて、重音奏法とフラジオレットを駆使したパッセージが、シュタルケルの精緻な技巧によって超然と響いてくるのに唖然とさせられる。

ドイツ・ヘンスラー・クラシックスからの新譜で、このヒストリック・シリーズは南西ドイツ放送局SWRで制作された歴史的ラジオ放送用音源を独自のリマスタリングでCD化していて、既にジノ・フランチェスカッティやイダ・ヘンデルの演奏集もリリースされている。

独、英語による簡易な解説と詳細な録音データが掲載されたライナー・ノーツ付。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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