2015年07月24日
ポッジのイタリアン・ソング集
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1950年代〜60年代に活躍した北イタリア、ピアチェンツァ出身のテノール歌手ジャンニ・ポッジ。
1948年にミラノ・スカラ座での『仮面舞踏会』でビョルリンクの代役として出演し絶賛を浴びて以降、スカラ座の常連として活躍。
その後ウィーン国立歌劇場やベルリン国立歌劇場などに定期的に出演するなど、海外では非常に評価の高い歌手で、1961年には「NHKイタリア歌劇団」公演で来日している。
明るく澄んだ歌声で一世を風靡したジャンニ・ポッジはテノールでオペラの全曲盤も相当数残しているが、1969年には引退しているので筆者自身実際の舞台でポッジの声を聴く機会はなかった。
またその当時イタリアにひしめいていた錚々たるテノール歌手達の中にあってポッジは個性的な声質ではなく、また容姿でアピールするタイプでもなかったので、来日しているにも拘らず日本ではその実力に比較してそれほど知名度は高くないが、天性の美声と楽々と聴かせる高音や豊かな声量で歌われるこうしたレパートリーでも舞台での響きを彷彿とさせる。
このイタリアン・ソング集はポッジの全盛期に当たる1953年のモノラル録音だが、リマスタリングの効果もあって音質は極めて良好だ。
イタリアのテノール歌手は本業のオペラ以外に必ずと言っていいほどナポリ民謡を始めとするカンツォーネ集を録音するが、この時代にはポッジの先輩に当たるタリアヴィーニやデル・モナコ、また同世代のディ・ステファノもいわゆる際物を集めたLPを少なからずリリースしている。
ディ・ステファノはシチリア出身のテノールらしく紺碧の空のように明朗でパッショネイトな歌唱を売り物にしていたが、ポッジはその点ではいくらか個性に欠けていることは否めない。
これは他の録音にも共通して言えることだが、ポッジはライヴでその本領を発揮し得た歌手のようで、こうしたセッションではやや大味な印象を受ける。
しかしこのCDに耳を傾けていると、声に総てを賭けていた時代のベル・カントの伝統を担った歌手としての存在感と熱いイタリア気質が伝わってくる演唱で、その歌唱法とスケールの大きさに往年のオペラ歌手の姿が映し出されている。
このCDは過去にリリースされた2枚のLPを合体させたもので、どちらもローマ・サンタ・チェチーリア音楽院での録音だが、オーケストラについては明記されていない。
指揮はどちらもエルネスト・ニチェッリが振ったもので、ふたつのオリジナル・ジャケットの写真を掲載しているが、例によってパンフレットには収録曲目一覧及び録音データのみが印刷されている。
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