2015年08月03日

シュテーガーのヴィヴァルディ:笛のための協奏曲集


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スイスのリコーダー奏者モーリス・シュテーガーのニュー・アルバムはヴィヴァルディの笛のための協奏曲集で、あたかも作曲家の霊感に取り憑かれたかのような彼が、殆んど曲の様式を崩壊させてしまう一歩手前までテンポを速め、多彩なアーティキュレーションと悪魔的なテクニックを駆使して吹きまくるスリルに満ちた演奏集だ。

それは伝説として語り継がれているヴィヴァルディ自身の、あらゆる技巧を盛り込んだカリスマ的ヴァイオリン奏法を意識したパフォーマンスに違いないが、一方でそれぞれの緩徐楽章で聴かせる歌心の表出は美しく、彼が決してゆったりしたメロディーを持て余す人ではないことを証明している。

また随所を飾るイタリア式装飾の華麗なアドリブも手馴れたものだ。

特にトラック18-20の『フルートとオーボエ、ファゴットと通奏低音のための協奏曲ト短調』RV103がソロの独りよがりではなく精緻なアンサンブルで特有のメランコリーを醸し出していて秀逸。

それにしても最後の『ごしきひわ』の鳥の鳴き声の模倣は愉快そのもので、バロックの合奏の楽しみを満喫させてくれる。

スイスのオルガニスト、ディエゴ・ファソーリス指揮するピリオド・アンサンブル、イ・バロッキスティの演奏は打てば響くような反応が見事で、かえってシュテーガーを煽るような挑発的なサポートでソロに拮抗していて息もつかせない緊張感を持続させている。

メンバーひとりひとりがソリストとしての技量を持っているが、アンサンブルとしての結束も固く、全体として統一のとれた協奏曲集に仕上がっている。

スイス、ルガーノにおける今年2014年1月から3月にかけてのセッションで、彼らのアグレッシヴとも言える音響を良く捉えた鮮やかな音質と豊かな臨場感が特徴的だ。

CD版のライナー・ノーツによると今回のシュテーガーの使用楽器はRV443ではデンナー・モデルの3本のC管ディスカントを使い分けている。

RV439、566、103にはブレッサン・モデルの2本のF管トレブル、RV95及び90にデンナー・モデルのG管トレブル、更にRV375にデンナー・モデルB管デスカントと多様な音色を披露しているが、その他にもこの曲集では『ラ・パストレッラ』でファソーリス自身が弾く珍しいハーディーガーディー(手廻し式ヴァイオリン)や前回ナポリのアルバムで登場したプサルテリウムも加わっている。

尚ピッチはa'=416Hzで、ミーントーンを調整した調律が採用されている。

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classicalmusic at 00:39コメント(0)トラックバック(0)ヴィヴァルディ  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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