2015年08月04日

クリュイタンス&トリノRAI響のドビュッシー:カンタータ「放蕩息子」、オネゲル:交響曲第3番「典礼風」(1962年ライヴ)


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アンドレ・クリュイタンスが1962年にトリノのRAI放送用ライヴとして録音したドビュッシーのカンタータ『放蕩息子』及びオネゲルの交響曲第3番『典礼風』の2曲を収録したCDで、当時のライヴとしては優れたステレオ録音で鑑賞できるのが嬉しい。

オーケストラはどちらもトリノRAI交響楽団で、この頃イタリア国営放送局RAIではトリノ、ローマ、ナポリのそれぞれの都市に専用のオーケストラを抱えていて一流どころの指揮者の客演によって高水準のコンサートや放送用演奏を行っていた。

現在ひとつに統合されたこのオーケストラは、サンタ・チェチーリア以外にはオペラ劇場から独立した楽団がなかったイタリアで、純粋なオーケストラル・ワークも器用にこなす機動力を備えていた。

クリュイタンスはかなりの量のラヴェルの作品をセッションで遺してくれたが、ドビュッシーに関してはオペラ『ペレアスとメリザンド』以下数えるほどしかなく、いずれもが素晴らしい仕上がりだけにその早過ぎた死が惜しまれてならない。

この『放蕩息子』は、ルカ福音書にあるキリストの喩え話からエドゥアール・ギニャンが脚色した抒情詩を22歳のドビュッシーが簡潔なカンタータ風に仕上げた作品で、和声的にも後の『ペレアス』の萌芽とも考えられている。

リア役にソプラノのジャニーヌ・ミショー、アザエルにテノールのミシェル・セネシャル、シメオンにバリトンのピエール・モレのベテラン・フランス系歌手を起用したことも成功の要因だろう。

劇場作品でキャリアを始めたクリュイタンスならではの自然にドラマを引き出して情景をイメージさせる指揮法の巧みさと、家族との再会によって救われる息子と母の安堵、父の寛大な赦しと神への感謝と続くリリカルな高揚感は官能的でさえある。

一方オネゲルについても他にクリュイタンスのサンプルがなくそれだけでも貴重なコレクションになり得るものだが、戦争の傷跡から立ち直りつつあった状況下で収録されただけに、この曲に賭けた平和への切実な願望と熱意が伝わって来る演奏だ。

しかしオーケストラの色調はむしろ明るく、未来に希望を託して平穏のうちに終了するフィナーレも生命感に漲っていて神々しいものがある。

客席からの拍手の他に咳払いや雑音が若干入っているが、鑑賞に煩わしくない程度のもので音質は鮮明。

12ページほどのライナー・ノーツにはクリュイタンスのキャリアとごく簡単な曲目解説が英、独、仏、伊語で、『放蕩息子』のリブレットはオリジナルの仏語で掲載されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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