2015年08月07日

バーンスタイン&ウィーン・フィルのハイドン:交響曲第88番「V字」、第92番「オックスフォード」、第94番「驚愕」


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バーンスタインとウィーン・フィルの共同作業は、売り物のマーラーやベートーヴェンばかりでなく、ハイドンでも見事な成果を上げている。

バーンスタインのハイドンのよさはもっと知られてよい。

ハイドンというと、わが国ではあまり人気がないが、それは杓子定規の堅苦しい演奏が多いせいではないか。

しかし、バーンスタインのハイドンを聴いて、音楽の楽しさを感じない人はおそらくいないだろう。

まず音の響きが感覚的に洗練され、もうそれだけで聴き手の心を奪い、すぐれた作曲家でもあるバーンスタインらしく各部の構成が見事に分析・総合され、しかもそうした構造を描くだけでなく、旋律の流れが実に流麗である。

ここでも、バーンスタインは、ワルターのように、細やかな表情づけにこだわることなく、おおらかにあたたかく表現していて、魅了される。

いかにもユーモリストのバーンスタインらしい、明るく健康的なウィットにとんだ演奏で、新鮮な味わいをもったすがすがしい表現だ。

“パパ・ハイドン”と呼ばれたなごやかなハイドンの音楽が、そのままバーンスタインの人柄に乗り移ったように聴こえてきて、気持ちがよい。

ウィーン・フィルを起用したのも成功で、このオーケストラ独自の典雅な音色を駆使して、生き生きとした音楽を展開している。

しなやかな弦の歌、まろやかな管のアンサンブル、溌剌としたリズムの躍動感、そのいずれもがハイドンの純音楽的な美しさと魅力を際立たせる。

ウィーン・フィルというオーケストラのすばらしさを、これほどわからせてくれる演奏も少ない。

第88番「V字」は立体感に富む弦と管のバランスが実に自然で、それが、ウィーン・フィル特有のいぶし銀の響きとバーンスタイン特有の生命力を端的にあらわしている。

精密さを求めるより、楽しさに重点をおくバーンスタインが、ニューヨーク・フィル時代には成し得なかったオーケストラとの阿吽(あうん)の呼吸を実現し、メヌエット楽章のスフォルツァンドや強弱の対照を面白く聴かせてくれる。

第92番「オックスフォード」もそうだが、ウィーン・フィルの美しい響きをいかしながら、バーンスタインは、ハイドンの音楽のもつ明るく、楽天的な味わいをうまく表現している。

その一方で、底抜けの明るさの中にも時としてかげりが生じ悲しみがよぎるのを豊かな感情をこめて演奏している。

バーンスタインの表現はウィーン・フィルの芳醇な音色をいかしながら溌剌とした自然な歌に満ち溢れて、ハイドンの最もハイドンらしい面を聴かせる。

第94番「驚愕」は、音そのものが形容を絶する美しさで、プルトを減らしたためか透明度も高く、素晴らしく魅惑的な演奏だ。

その豊麗な響きと流麗さは、他のオーケストラからは求められないものだ。

もちろんバーンスタインの表現も音楽に共感した演奏にのみあらわされるような生命力があり、各部がくっきりと表出されていて、ハイドンの真髄が端的に伝わってくる。

第2楽章の驚かしばかりではなく、全曲のあちこちにハイドンらしい機知やウィットがちりばめられ、ライヴの熱気と高揚と力の爆発が加わって、まさに鬼に金棒。

まさにハイドンの豊かな生命力の理想の表現であり、これほど溌剌として率直、歌にみちた古典の演奏は滅多に聴くことができない。

晩年のバーンスタインは、音楽の奥行きをより深めていったけれど、同時にウィーン・フィルを振ると、決まってこのオーケストラの個性を最大限に発揮させていた。

この演奏もそのひとつで、濃厚な隈取りのなかに、優美でしなやかな感性がうまくいかされている。

筆者はハイドンのような音楽が認められないのは、つねづね音楽受容の後進性を表わしているのではないかと考えているが、このような演奏を聴けばハイドンの熱烈な愛好家が激増することになろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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