2015年08月15日

ヴェンツ&ムジカ・アド・レーヌムのF.クープラン:王宮のコンセール集


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ヴェンツは自ら創設したオランダのピリオド・アンサンブル、ムジカ・アド・レーヌムを率いて、既にフランソワ・クープランの室内楽全集7枚組を同じブリリアント・レーベルからリリースしていて、この3枚組セットはそのうち『王宮のコンセール』1枚と『趣味の融合あるいは新しいコンセール』の2枚をまとめてプライス・ダウンしたリイシュー盤になる。

ユトレヒト・マリア・ミノール教会での2004年の録音で、鮮明な音質と雅やかな古楽器の音色を手軽なバジェット価格で親しめる演奏として特に入門者にお薦めしたい。

ちなみに3人の管楽器奏者の使用楽器は、ヴェンツのトラヴェルソが『王宮のコンセール』ではオットテール・モデル、それ以外はJ.H.ロッテンブルグ、アンナ・スタールのバロック・オーボエがオットテール、ジェーン・ゴワーのファゴットがプリュダン・モデルのそれぞれコピーになり、ピッチはa'=398Hzのいわゆるヴェルサイユ・ピッチで現代のそれより殆んど長二度低いために浮き足立たない典雅な響きが得られている。

クープラン一族はバッハ家と共に並び称される同時代の音楽家ファミリーだったが、中でもフランソワはルイ14世に仕えヴェルサイユ宮殿で毎週開かれた演奏会のために、多くの室内楽やソロ用の作品を作曲すると共に、鍵盤楽器奏者としても名を馳せた。

ここに収録された『王宮のコンセール』も例外なくそうした目的で誕生した娯楽のための組曲集だ。

曲の構成は先行する短いプレリュードに自由に扱われる舞曲系の小曲が続く典型的な様式で、そこには如何にも宮廷内の慰みといった、流暢だが一種刹那的な美学が感じられるのも事実だろう。

そのあたりのいまひとつ踏み込んだクープラン特有の情緒や音楽の陰翳の表出となるとムジカ・アド・レーヌムの演奏はやや薄味という印象を受けるが、そつのない軽快で華やかなアンサンブルと要になるボルフステーデのチェンバロの即興演奏が極めて巧妙で、全体的に高い水準のセッションになっている。

『趣味の融合あるいは新しいコンセール』は明らかにコレッリのイタリア趣味との迎合を意味している。

バッハが協奏曲でヴィヴァルディの様式に範を取ったように、クープランはコレッリのソロ・ソナタやトリオ・ソナタの楽器編成にヴェルサイユ趣味を映し出した。

さまざまな楽器を登場させてバラエティーに富んだ名人芸をちりばめ、後続にシシリエンヌやフゲットなどのエレメントを取り入れて伝統的な組曲に変化を与えているが、斬新な改革ではなくあくまでも曲想に彩りを添えるための試みといったところだ。

ムジカ・アド・レーヌムが水を得た魚のように自在に展開する屈託のない演奏が、曲想に相応しい洒落っ気を与えている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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