2015年08月15日
コレギウム・ムジクム90:フリードリヒ大王の宮廷音楽
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ピリオド楽器を使ったバロック室内合奏団コレギウム・ムジクム90は、バロック・ヴァイオリン奏者のサイモン・スタンデイジによって1990年に発足した。
スタンデイジはトレヴァー・ピノックが率いたイングリッシュ・コンサートの最初のメンバーの1人で、彼らの演奏もピノック譲りの快活さを持っているが、更にレパートリーの枝葉を広げて比較的マイナーな曲にも目を向けている。
その音楽の解釈は古楽の忠実な再現が基本的で、比較的地味かも知れないが少数精鋭の隙のないアンサンブルを聴かせてくれる。
この曲集では過去にも多くの協演をしているイギリスの女流トラヴェルソ奏者レイチェル・ブラウンを迎えて3曲を収録していて、ベルリンの宮廷音楽の特質を良く捉えている。
ブラウンは個性的なアゴーギクと強い吹き込みやブレスのテクニックを使って、従来のオランダ系トラヴェルソ奏者とは明らかに対照的な演奏をするが、また強い説得力を持っていることも認めざるを得ない。
フリードリヒ大王の宮廷音楽と題されたこのCDには、当時のベルリンで活躍した4人の音楽家と大王自身の作品の都合6曲が収められている。
選曲で工夫を凝らしてあるのは、宮廷では冷遇されていたバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルの作品を2曲取り入れたことだ。
クヴァンツは1752年に『フルート奏法試論』を世に出したが、彼はすかさず翌年に『正しいクラヴィーア奏法試論第1部』を公表する。
実際クヴァンツの曲は特にチェンバロ・ソナタにその典型が示されているように、曲想やそれに伴う和声の変化が斬新かつ独創的で、こうした作品が後の時代の作曲家に及ぼした影響は測り知れないだろう。
しかし出る釘は打たれるという例えのように、彼の作品はクリストフ・ニシェルの批判に晒され、挙句の果てに減俸になってしまう。
今でこそ弟クリスティアンと並んで高い評価を受けている作品群は、ベルリンでの不運に粘り強く堪えた時期の成果ともいえる。
収録曲目は1.カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ『トリオ・ソナタ変ロ長調』
2.フランツ・ベンダ『ヴァイオリン・ソナタイ短調』
3.フリードリヒ大王『フルート・ソナタハ長調』
4.カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ『チェンバロ・ソナタイ長調』
5.ヨハン・ゴットリープ・グラウン『トリオ・ソナタト短調』
6.ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ『フルート協奏曲イ長調』
ピッチはa'=415で、1993年のセッションで録音レベルがやや低い嫌いはあるが、音質自体は良好だ。
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