2015年08月18日
イタリアSQの現代音楽作品集
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イタリア弦楽四重奏団の現代音楽のレパートリーを集めた1枚で、1954年から60年にかけてコロンビアに入れたモノラル録音のライセンス・リイシューになるが、英テスタメントのデジタル・リマスタリングによって得られた明瞭な音質は鑑賞に全く煩わしさがない。
曲目はプロコフィエフの弦楽四重奏曲第2番Op.92、ストラヴィンスキーの『3つの小品』、ミヨーの同第12番及びマリピエロの同第4番で、イタリア弦楽四重奏団のディスコ・グラフィーを見ると、これらの曲は1度しか録音されていないので、彼らの貴重なコレクションにもなる。
端的に言って彼らの解釈はドイツ系のアンサンブルとは一線を画した感覚的に捉えたカルテットで、しかもそれが4人の隙の無いチームワークによって完璧に鍛え上げられ、極めて情熱的に処理されている。
演奏に辛気臭さが全くなく、覇気に貫かれた合奏から導き出される多彩な音色やリズムの変化の面白みを外側に向けて発散させる、セオリー云々よりも先ず感性に訴えてくる魅力がある。
ロシア、フランス、イタリアのそれぞれの作曲家の作品をレパートリーにしていたことも興味深いし、実際彼らはしばしば一晩のコンサートのプログラムにラテン系とドイツ系の作品を抱き合わせた。
要するに彼らにとって作曲スタイルの相違は問題ではなく、むしろその対比の妙を聴かせることによって演奏会を変化に富んだものにしていた。
ところでイタリア弦楽四重奏団は、1945年結成当初から現代音楽をレパートリーに取り入れていた。
それは戦後の一時期聴衆の間で物議をかもしたが、彼らの積極的で果敢な演奏活動と説得力のある解釈によって、次第に受け入れられるようになった。
その好例がここに収められた4曲で、また彼らの自己研鑽と長いキャリアの節目になったのが1970年のフィリップスへのウェーベルンの弦楽四重奏曲全曲録音だろう。
残念ながらこのウェーベルンについては現在入手困難になっている。
ロマン派以降のレパートリーとして彼らが頻繁に取り上げた作曲家は他にドビュッシー、ラヴェル、レスピーギなどが挙げられる。
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