2015年08月18日
マンゼ&イングリッシュ・コンサートのヴィヴァルディ:皇帝のための協奏曲集
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このCDは2004年に制作され、当時から評判の高かった演奏だが2倍以上の価格でリリースされていた。
それが2012年になってから220ページ、全カラー写真入りの2012年度のハルモニア・ムンディのカタログ付で再販されて、興味深い演奏なので今回の廉価盤化は歓迎したい。
この曲集は一般に『ラ・チェトラ』の名称で親しまれている12曲のヴァイオリン協奏曲集で、アンドリュー・マンゼはその中から6曲を選んでヴィヴァルディの時代に演奏されたであろうスタイルに再現している。
マンゼ率いるイングリッシュ・コンサートのメンバーは今回16人で、通奏低音は曲趣に合わせて適宜入れ替わっている。
それぞれが名立たるピリオド楽器を使っていて彼ら特有の音色を創りあげているが、協奏曲ホ長調『アモローソ』ではミュートを付けた弦楽器の静かな伴奏にのせて、題名どおりソロ・ヴァイオリンが愛らしいメロディーを奏でる。
またチェンバロの代わりにバロック・ギターを通奏低音として取り入れているのも効果的な演出だ。
この曲集ではカデンツァにマンゼ自身の即興が挿入されているのも特徴のひとつだ。
緩徐楽章においてもRV277のアンダンテのみはヴィヴァルディの自筆の装飾音が残されているが、それ以外は総て彼のインプロヴィゼーションになる。
マンゼのインスピレーションを掻き立てたのは1715年にヴィヴァルディの実演に接したフォン・ウッフェンバッハの記述に違いない。
「左手を弓がやっと入る弦のブリッジの傍らに構え、信じられないスピードで演奏していた」というコメントがライナー・ノーツに引用されている。
ヴィヴァルディは1728年に、この協奏曲集を当時トリエステに滞在していた神聖ローマ帝国皇帝カール6世に献呈した。
皇帝は彼に相当の褒美を下賜されたが、ヴィヴァルディの望んでいたものは宮廷作曲家兼ヴァイオリニストの地位だったようだ。
しかしその願いは結局受け入れられなかった。
マンゼの推測では、彼の急進的な音楽はオールド・ファッション・スタイルを好んでいた皇帝の趣味とは相容れないものであった。
その証拠としてこの地位に選ばれたのが、保守派のイタリア人で今日では無名のマッテオ・パロッタだったことを挙げている。
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