2015年08月19日
ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテのヴィヴァルディ:調和の霊感
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この音源は1997年と翌98年に録音されたもので、新譜ではないことを断わっておく必要があるだろう。
しかし彼らのヴィヴァルディの解釈は新鮮そのもので、私達の時代を反映した演奏として現在でもその斬新さは評価されるべきだと思う。
ビオンディの演奏の特徴は歯切れの良いリズム感と、対照的なピリオド・スタイルの憂いを含んだカンタービレ、そして自由で即興的な雰囲気を持っていることなどが挙げられる。
それは取りも直さずイタリア趣味のエッセンスでもあり、特にヴィヴァルディではこうした自然な感性の発露が支配的だが、アンサンブルとしても良く鍛え上げられていて一糸乱れぬエウローパ・ガランテのサポートにも強い説得力がある。
この12曲の中でも第6番イ短調がその典型的なサンプルだ。
ヴァイオリンの教則本にも取り上げられているこの協奏曲は、基礎的なテクニックを学ぶためにも価値のある作品だが、彼らはメソード的なイメージからは全く離れた、緊張感に満ちた急速楽章とラルゴでのメランコリックで芸術的な表現は流石だ。
『調和の霊感』作品3はJ.S.バッハによって12曲中5曲までがさまざまな形に編曲されている。
そこまでバッハを夢中にさせた理由は、曲中のダイナミズムの劇的な変化や、これ以上省略できないほどに簡略化された効果的な書法だろう。
例えば第8番イ短調は2挺のヴァイオリンのための協奏曲だがバッハはオルガン独奏用に、第3番ヴァイオリン協奏曲ト長調はチェンバロ独奏用に、また第10番4挺のヴァイオリンのための協奏曲ロ短調は4台のチェンバロのための協奏曲にそれぞれアレンジしている。
それだけヴィヴァルディの作品には融通性があり、変幻自在の可能性を秘めているとも言えるだろう。
バッハの編曲はそれ自体魅力的だが、ここでのビオンディとエウローパ・ガランテは原曲の持っているオリジナリティーの魅力を究極的に引き出して、その美しさとドラマティックな世界を堪能させてくれる。
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