2015年08月20日
オイストラフ&オーマンディのチャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
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オイストラフ51歳の時のセッションで、彼の最も脂ののっていた頃の録音だけあって、すこぶる彫りが深く、彼の円熟期の特徴でもある、あらゆる面において万全なバランスを保った演奏が秀逸。
チャイコフスキーはロシア的情感を濃厚に表出した秀演で、中庸の美とも言うべき安定感と音色の美しさが堪能できるし、スケールも大きく、訴えかける力も強い。
また、第3楽章アレグロ・ヴィヴァーチッシモでの決して音楽性を失うことのないパワフルな俊敏さも流石だ。
一方シベリウスはオイストラフならではの気迫を感じさせるが、感情移入に凝り過ぎないしっかりした構成力と鮮やかな技巧で、より普遍的で堂々たる音楽の美しさを聴かせてくれる。
また、伴奏のうまさも特筆すべきものであり、オーマンディ率いるフィラデルフィア管弦楽団の明るくスペクタクルな音響は、ソロと意外なほど相性が良く十全な協演をしている。
ここに収められた2曲に共通していることは、ロマンティックな抒情に流されることなく、理知的で懐の深い解釈を磨きぬかれたテクニックと艶やかな音色で奏でていることだろう。
オイストラフはこれ見よがしの安っぽいテクニックを嫌って、アンコールにおいてさえ聴衆のご機嫌を取るような技巧的な曲を全く弾かなかった。
それがオイストラフの美学でもあり、言ってみれば玄人受けするヴァイオリニストだった。
しかしオイストラフの演奏は、他の多くのソリストがまだロマン派的な奏法を引きずって互いに個性を競っていた時代にあって、恣意的な表現を抑え、作品をよりストレートに再現することを心掛けた新しい解釈において常に模範的であり、そうした意味でこのCDは入門者のファースト・チョイスとしてもお薦めできる。
どちらも1959年の録音だが、その音質の良さに先ず惹かれる。
ヒス音が多少入っているが、音像の広がりやソロならびにオーケストラの個々の楽器の解像度もかなりの水準で、低音にも不足しておらず、初期ステレオ録音の中でも大変優れたもののひとつと言える。
DSDマスタリングのリイシュー盤で、広めの空間に音を解放する形で再生するのであれば理想的な音響空間が得られる。
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